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J3昇格、今治・岡田武史の本音(下)。
「新スタジアムは健康や教育に使う」 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

PROFILE

photograph byShigeki Yamamoto

posted2019/12/16 19:05

J3昇格、今治・岡田武史の本音(下)。「新スタジアムは健康や教育に使う」<Number Web> photograph by Shigeki Yamamoto

日本代表監督を2回務めた名将だったが、公認S級コーチライセンスの更新を見送り、指導者としては引退した。今は経営に専念している。

徐々に「岡田色」を消していきたい。

 岡田は今年で63歳になった。

 これまでは全力で陣頭指揮を執ってきたが、J3昇格を機に徐々に「岡田色」を消していきたいともいう。

 自分の影響度が薄くなっても、十分に活動できるようにしておくのが未来への責務。来年から始めていかなければならないと岡田は言葉に力をこめる。

「俺がガムシャラに走ってきたことは事実。社員のみんなは俺についてくるだけで大変だったと思うし、申し訳なかったとも思っている。それに俺自身も同じスピードじゃ持たない。

 ここからはもっとみんなに任せていきたいし、アイデアを出し合って一つずつ実現してほしい。もう63歳になって俺のアイデアなんて、たかがしれてるよ(笑)。若いヤツが引っ張っていかなきゃ。

 トップチームについても新しいスタジアムが間に合わないから、2020年に優勝してもJ2には上がれない。16歳までに落とし込む我々のメソッドを、トップチームにも反映させて誰が見ても“これが今治のスタイルなのか”と分かってもらえるようにする1年にしてもらいたい。

 次の年に我々のスタイルで昇格できるようになれば、素晴らしいことになるんじゃないかな」

確かなムーブメントは感じている。

 セレモニーが終わり、岡田は高台にある現スタジアムから新スタジアムの建設予定地を指差して「ここから見る景色はどう? いいだろう?」と笑みを向けた。

 Jリーグ入会は1つの通過点にすぎない。サッカーと地方創生をリンクさせた取り組みもまた同様である。

 岡田の思いは、社員、スタッフの思いであり、ひいては今治全体の思いになっていくのかもしれない。

 タネは蒔いた。ただ、水をやってしっかりとした花を咲かせるためには、己の力だけではどうにもならない。

 確かなムーブメントは感じている。

 2020年、FC今治にはどんな新章が待ち受けているのだろうか──。

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