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J3昇格、今治・岡田武史の本音(下)。
「新スタジアムは健康や教育に使う」 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byShigeki Yamamoto

posted2019/12/16 19:05

J3昇格、今治・岡田武史の本音(下)。「新スタジアムは健康や教育に使う」<Number Web> photograph by Shigeki Yamamoto

日本代表監督を2回務めた名将だったが、公認S級コーチライセンスの更新を見送り、指導者としては引退した。今は経営に専念している。

「シャッター商店街」の現実も目の当たりに。

 愛媛の海事都市、人口が16万人に届かない今治はサッカー熱が高いわけでもない。人口減少が進み、「シャッター商店街」の現実も目の当たりにした。

 この町を盛り上げていかなければ、FC今治にも活力が生まれない。

 当初は「都会から来たよそ者」と見られているなと距離を感じた。受け入れてもらうために極力、今治に滞在するようにした。他県から来た社員、スタッフには「今治の友達を増やしていこう」と呼び掛けた。

 高齢者が中心の町内会では手が足りない清掃作業などにスタッフを派遣して「孫の手活動」として展開した。

 今治の自然を活かした野外体験教育や、全国の若者を集めて実施するワークショップ「バリ・チャレンジ・ユニバーシティ」も定期的に実施している。

 率先して今治の魅力を伝える発信者となった。

「岡田メソッド」をFC今治から無償提供。

 サッカーでも「今治全体で強くなる」発想を浸透させた。地元の少年団、中学、高校の指導者全員に会いに行き、「岡田メソッド」をFC今治から無償提供してコーチングスタッフを派遣した。岡田もミーティングに参加した。

 その成果の一つとして今年、全国高校選手権の愛媛県代表として今治東中教高が出場を決めている。

「僕らが今治モデルというのを呼びかけて、高校、中学、少年団と1つのピラミッドをつくっていこうよっていう話をして、みんなが協力してくれた。

 今治の高校が、全国に出てくれたことは本当にうれしいよ。今まで(高校サッカーの)応援に行ったことないけど、今回はさすがに行こうと思っている」

【次ページ】 約1万5000人収容の新スタジアムの実現。

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