松岡修造のパラリンピック一直線!BACK NUMBER

ブラインドサッカー日本代表・菊島宙。
カトケンの一言で「覚醒」して得点王! 

text by

松岡修造

松岡修造Shuzo Matsuoka

PROFILE

photograph byYuki Suenaga

posted2019/12/09 08:00

ブラインドサッカー日本代表・菊島宙。カトケンの一言で「覚醒」して得点王!<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

松岡修造さんのインタビューが進むにつれ……どんどん障がい者と健常者の区別、垣根は無くなっていきました。

菊島「心無い言葉をかけられたりしたこと……」

松岡「人見知りをしないの?」

菊島「いや、けっこうありますよ。初対面は特に。松岡さんは特別で、テレビでも見ていたから(笑)。一応、その人の雰囲気を見て、しゃべりかけても大丈夫そうなら行きます。カトケンは教える側で、私は教わる方だったから、話しかけやすいのもありました」

松岡「ブラサカはどうでした。すんなりと入っていけた?」

ADVERTISEMENT

菊島「やっぱり最初は『見えていないのになんでボールが蹴れるんだろう』って、不思議に思いました」

松岡「僕が今日感じたことを、ソラさんも思っていたんだ。でも、それを今、やってるんですよ」

菊島「でも、始めた当初は見えていた方が楽しかったので、なかなか普通のサッカーから移れなくて。でも、中1の時にチームメイトから障がいに対する理解を得られず、心無い言葉をかけられたりしたこともあって、もうブラサカ一本に絞ろうと。サッカーを辞めることも考えたんですけど、父親に『お前にはブラサカがあるじゃん』と言われて、それで決めました」

松岡「今では『ブラサカ界の澤穂希』と」

松岡「最初はなんでこんなことができるのと思うところから始めて、今では『ブラサカ界の澤穂希』と言われるくらいまでになった。すぐに上達していったんですか」

菊島「一応、小学校の時から月に1回とかの割合でブラインドサッカーのキッズトレーニングには参加していて、目隠しをしてトラップ、パス、ドリブルはできるようになっていたんです。でも、小6で初めて試合に出させてもらったときは、怖くて壁から動けなかったです」

松岡「そんなイメージは皆無です。今日のプレーを見ていると、最初から飛び抜けた才能があって、すいすいとボールを蹴っていた姿しか想像できない。だからある意味、今の話は新鮮です。何が切っ掛けで怖くなくなったんですか」

菊島「中2の途中までは動けなかったんですけど、カトケンが膝を壊して試合に出られなくなって、そこで吹っ切れました」

松岡「またカトケンが絡んでくるの!」

【次ページ】 加藤「今や日本選手権で得点王です(笑)」

BACK 1 2 3 4 NEXT
#加藤健人
#菊島宙
#東京パラリンピック
#オリンピック・パラリンピック

他競技の前後の記事

ページトップ