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バド女子ダブルスの勢力図に変化?
韓国勢の躍進、東京五輪争いの行方。
posted2019/12/10 18:00
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph by
Itaru Chiba
現在(12月3日付)、バドミントン女子ダブルスの世界ランキングに3組の日本人ペアがランクインしている。2位に福島由紀/廣田彩花、3位に永原和可那/松本麻佑、そして4位はリオ五輪金メダリストの高橋礼華/松友美佐紀だ。
東京五輪の数ある競技のなかでメダル獲得が期待されている種目の1つでもある。
ただ、代表の枠は最大で2つと定められているため、いずれも世界ランク上位にランクインしているものの、この3ペアがすべて東京五輪に出場できるわけではない。
日本勢を上回る世界ランク1位に君臨しているのは中国のチェン・チンチェン/ジャ・イーファン。今季は全英オープンやマレーシアオープン、中国オープンで優勝し、コンスタントに結果を残している。2~4位は日本勢が占め、5位、6位と韓国ペアが続く。この世界トップランカーたちに共通しているのは、攻撃力とパワーを武器にしているペアが多いということだ。
攻撃型ペアが急増、韓国勢の躍進。
2012年ロンドン五輪で垣岩令佳とペアを組み、日本バドミントン界史上初の銀メダルを獲得した藤井瑞希は女子ダブルスのスタイルの変化をこう語る。
「私たちの時(ロンドン)はわりとディフェンシブなペアが強かったですね。リオ五輪のときも、まだ完全なる攻撃型が中心ではなく、粘り系のペアがトップにいた印象があります。当時と比べると、今は男子に近いというか、より一層攻撃的にプレーできるペアがトップにいますね」
特筆すべきは、8月の世界選手権以降の活躍が顕著な韓国勢の存在だ。ツアー主要大会では、優勝、もしくは準優勝し、日本勢の前に立ちはだかっている。
「日本は五輪が終わると、同じペアで次の五輪までの4年間、時間をかけて熟成させていきます。しかし韓国は五輪が終わると、次の五輪に向けてどの選手を推す(強化する)のか、おおよそ2年程度の長いスパンでいろいろな組み合わせで選手を組ませるんです。そして成績を見ながらベストなペアを見定める。
プレーしている選手たちも、たとえば団体戦(スディルマン杯やユーバー杯)で起用されれば自分が推されていると分かりますし、それで意識も高くなる。そうした相乗効果で強くなっている印象がありますね」(藤井)