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ワールドシリーズMVPストラスバーグと
佐々木朗希に、驚くほどの共通点が。 

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太田俊明

太田俊明Toshiaki Ota

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photograph byShigeki Yamamoto & Getty Images

posted2019/11/10 11:30

ワールドシリーズMVPストラスバーグと佐々木朗希に、驚くほどの共通点が。<Number Web> photograph by Shigeki Yamamoto & Getty Images

佐々木朗希より13歳年上のステファン・ストラスバーグ。現在、身長で6センチ、体重は20キロ上回る。

優勝争い中の登板回避で物議を呼ぶ。

 2つ目の共通点は、重要な場面での登板回避騒動だ。

 佐々木の岩手県大会決勝戦登板回避は、日本中に賛否両論を生んだが、ストラスバーグは更に驚くような登板回避を経験している。

 2012年、トミー・ジョン手術から本格復帰したストラスバーグは、ワシントン・ナショナルズの主力投手として開幕から快調に飛ばし、オールスターにも選出される。後半戦も好調を維持して、8月21日までに15勝と、最多勝ペースで勝ち続けていたストラスバーグは、故障でもないのに、9月7日を境にまったく登板しなくなる。

 トミー・ジョン手術からの完全復活を期すチームの医師団が、シーズン開始前からこのシーズンの投球回数を160回までと制限していたのだ。

 優勝争いをしているチームのエース、しかも開幕からサイ・ヤング賞も狙えるほど好調な投球を続けていた投手が、シーズン終盤の勝負どころで故障予防のためにマウンドからふっつりと姿を消したのだから当然議論を呼んだが、チームは最後まで方針を変えなかった。

 この年、ナショナルズは地区優勝を決めるが、ストラスバーグはポストシーズンにも登板せず、ナショナルズは地区シリーズで2勝3敗と善戦しながら敗退した。エースのストラスバーグを投げさせていれば勝てたのではないか。佐々木の登板回避と同様、このナショナルズの方針は大きな物議を呼んだ。

高校時代は、無理に投げなかった。

 3つ目の共通点が、高校時代に無理な投球をしなかったことだ。

 佐々木が、大船渡高校時代に国保陽平監督によって球数制限をされ、故障しないよう大切に育てられたのはよく知られている。

 同様に、ストラスバーグも高校時代にはあまり投げていない。もっとも、こちらは監督による意図的な球数制限というよりも、ストラスバーグ本人の精神的な問題と110キロを超える肥満体が原因で、最高球速も146キロという平凡な投手だったからだ。

 ドラフトにかかることもなく、唯一声をかけてくれたサンディエゴ州立大学に進学したストラスバーグは、そこで徹底した走り込みと体重管理によって最高球速を166キロにまで引き上げ、3年という時間をかけて「MLBドラフト史上最高の投手」に成長していく。

【次ページ】 佐々木朗希の3年後に期待。

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佐々木朗希
ステファン・ストラスバーグ
大船渡高校
ワシントン・ナショナルズ
江川卓

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