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ワールドシリーズMVPストラスバーグと
佐々木朗希に、驚くほどの共通点が。
text by
太田俊明Toshiaki Ota
photograph byShigeki Yamamoto & Getty Images
posted2019/11/10 11:30
佐々木朗希より13歳年上のステファン・ストラスバーグ。現在、身長で6センチ、体重は20キロ上回る。
佐々木朗希の3年後に期待。
今年のワールド・シリーズで2勝無敗でMVPに選ばれ、ドラフトの全体1位でワールド・シリーズMVPになったのは史上初という快挙を31歳にして成し遂げたストラスバーグだが、奪三振マシーンとしてのピークは21歳、166キロという自己最速をマークした大学3年のときだった。
高校時代に160キロを計測し、それほど球数を投げなかったという、こちらも佐々木と共通点を持つ大谷翔平が165キロという日本プロ野球記録を打ち立てたのは、プロ入り4年目の22歳のときだった。
ストラスバーグ、大谷、佐々木は、いずれも190センチを超える大型投手だが、こうした大型投手が成長するには、このくらいの時間が必要なのかもしれない。
因みに、179センチと“小型”の江夏豊が401個というシーズン奪三振数の世界記録を作ったのは、入団2年目の20歳の時だ。
歳を重ねると筋力は増すが、身体の柔軟性や瞬発力は衰えていく。体重が増えて、身体のキレも落ちていく。打者を抑える投球術は別にして、最高速を出すといった投手としての身体能力のピークは、比較的若い年齢にあるのではないか。
ロッテ入りする佐々木が焦らずに成長を重ねて、数年後に日本プロ野球史上最高の投球を見せてくれることを大いに期待したい。
ストラスバーグは『ガラスのエース』。
ストラスバーグは、MLB入り後は故障が多く、トミー・ジョン手術も受けて『ガラスのエース』と呼ばれた。MLB10年間で112勝、1695奪三振という数字は、『MLBドラフト史上最高の投手』にしては正直もの足りない。
これまで無理をせぬよう大切に育てられ、高校生活の集大成であるべき県大会決勝戦を登板回避し、U18ワールドカップは指のまめでほとんど投げられなかった佐々木もひ弱な印象があり、ロッテの『ガラスのエース』にならないか、少し不安がある。
ストラスバーグは、トミー・ジョン手術を受けてから肘への負担が大きい投球フォームの改善に乗り出した。
現在の日本には、ストラスバーグの時よりもはるかに進んだ投球メカニズムへの理解がある。佐々木には、球数制限で肩を休めるだけでなく、早い段階で肩や肘に負担の少ない投球フォームの獲得に取り組むことで故障を避け、ゆくゆくは日本一、そして世界一の投手を目指してほしい。