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ワールドシリーズMVPストラスバーグと
佐々木朗希に、驚くほどの共通点が。
posted2019/11/10 11:30
text by
太田俊明Toshiaki Ota
photograph by
Shigeki Yamamoto & Getty Images
岩手県大会の決勝戦を登板回避して佐々木朗希の夏が終わったときに私が思ったのが、「佐々木はステファン・ストラスバーグ(現ワシントン・ナショナルズ)に似ている」というものだった。この2人には、少なくとも3つの共通点がある。
まず最初が、ともにアマチュア時代に「史上最高では?」の声があがったことだ。
佐々木は高校3年の春に163キロという高校野球史上最高球速を記録して、それを目の当たりにしたプロのスカウトから「日本野球史上最高の投手になるかもしれない」との声が上がった。
一方のステファン・ストラスバーグは、サンディエゴ州立大学でアマチュア最終年を迎えるが、この年の成績はとんでもないものだった。最高球速は166キロを計測。109回を投げて13勝1敗、防御率1.32。何より凄まじいのは奪三振数で、なんと計195個。1試合当たりの奪三振率16.10を記録したのである。
この奪三振率がいかに驚異的か。これに匹敵するのは、日本高校野球史に燦然と輝く1973年春の選抜の江川卓の投球=33回で60奪三振(選抜記録)、奪三振率16.36と、1試合22奪三振の大会記録を作った2012年夏の松井裕樹の投球=36回で68奪三振、奪三振率17.0くらいしかない。
ストラスバーグは、江川と松井が一大会で成し遂げた歴史的な奪三振ショーを、よりレベルの高い大学野球で1年にわたって演じ続けたのである。
50年、60年に1人の逸材。
2009年のMLBのドラフトで、ストラスバーグは「MLB45年のドラフト史上最高の投手」、「既にMLBのスーパーエース級の力がある」と賞され、この年のドラフトは全米でかつてないほどの大きな注目を集めた。
そのドラフトで全体1位でワシントン・ナショナルズに指名されたのだが、それから現在に至るまでMLBのドラフトでこれほど騒がれた投手は出ていないのだから、まさに50年、60年に1人の逸材と言えるだろう。