“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
首を振り続ける男・喜田拓也。
今のマリノスに必要な「深み」。
posted2019/04/10 07:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
90分間に一体、何度首を振っているのだろうか。
攻守どちらの場面においても、ボールのあるところに必ず彼がいる。
横浜F・マリノスのMF喜田拓也のプレーは、今年に入って凄みを増している印象を受ける。
今季のマリノスにおいて喜田は4-1-4-1のアンカーに位置し、攻守のバランスを取る。パスを集約し、周りに散らす動脈的な役割をこなすだけではなく、高い危機察知能力と球際の思い切りの良さを生かしたボールを奪取。そこから有利な位置にいる味方にパスを送り込む。
1人で起点・集約・分断の3役をこなしてくれる喜田は、チームにおいて最も重要な役割を果たしているといっても過言ではないかもしれない。
下部組織から生粋のマリノス戦士。
喜田は小学校時代から横浜FMの下部組織に所属し、2013年にユースからトップ昇格。プロ3年目の'15年ごろからトップ下やボランチでの出場機会を掴み始め、チームに安定をもたらす存在としてコンスタントに試合出場を重ねてきた。
アンジェ・ポステコグルー監督が就任した昨年は、開幕戦から数試合は中盤の底を任されたが、怪我による離脱後はインサイドハーフでの出場が多かった。しかし、今年はキャンプからアンカーを託され、開幕戦から定位置となっている。
「アンカーはボールを多く触らないといけないポジションなので、僕のところでテンポを出し、相手の出方を見つつ、うまく相手をコントロールするプレーを心がけています。それに(前監督の)モンバエルツさんの時よりも攻撃的な部分を求められていますし、ポステコグルー監督はビルドアップを非常に大事にしている。難しいことをやっている分、やりがいを感じています」