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偉大なるイチロー、現役最後の日。
「野球を愛すること」を貫いた28年。 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byNaoya Sanuki

posted2019/03/22 14:00

偉大なるイチロー、現役最後の日。「野球を愛すること」を貫いた28年。<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

「イチローなら必ずやってくれる!」と誰もがずっと夢を見ていられた……あまりにも偉大過ぎる、28年の野球人生であった。

来日前、GMに伝えていた現役引退。

「日本でプレーするところまでが契約上の予定だった。キャンプ終盤でも結果が出せず、それを覆すことができなかった」

 昨年5月に選手登録を外れて会長付き特別補佐に就任したときから、今回の日本遠征までは選手としての身分を保証するという契約だった。

 ただイチローの中では……恐らくキャンプに参加することで、同じスタートラインからの競争を勝ち抜いて何とかプレーヤーとしてチームに残る可能性にかけてみる、という目標はあったのだろう。

 ただ、イチローは競争に敗れた。

 オープン戦で無安打が続いた中で、来日直前の3月10日にキャンプ地のアリゾナでジェリー・ディポトGMに決断を伝えていたというのだ。

結果は出なくても、カッコ悪くても……。

「これはギフトだと思っている」

「日本人でいることが勝者なんだなと思った」

 開幕シリーズの直前会見でこう語った裏には、「引退」の2文字を心の中にしまい込んで臨むゲームへの強い思いがあったのだ。2試合で6度、打席に立ったが、そこでも願った結果は残せなかったが……。

「最低50歳までと本当に思っていたし、有言不実行になってしまったけど、言わなかったら、ここまで来られなかったと思っている」

 かつてのイチローの栄光を思えば、想像もつかない姿かもしれない。それでも結果は出なくても、カッコ悪くても、いまの自分にできるパフォーマンスを最後の最後までやり遂げた。

 そこが、イチローであったのだ。

【次ページ】 「野球を愛したこと。これは変わることはなかった」

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