プロ野球亭日乗BACK NUMBER
偉大なるイチロー、現役最後の日。
「野球を愛すること」を貫いた28年。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNaoya Sanuki
posted2019/03/22 14:00
「イチローなら必ずやってくれる!」と誰もがずっと夢を見ていられた……あまりにも偉大過ぎる、28年の野球人生であった。
「野球を愛したこと。これは変わることはなかった」
試合後の東京ドーム。
両チームのナインがロッカーに引き上げた後も、スタンドのファンからは自然発生的にイチローコールが湧き起こった。
その声に応えた「背番号51」が、無人のグラウンドに戻ってきた。
涙はない。
三塁ベンチ前からゆっくりとフェンス沿いに左翼へ移動。
そこから両手を掲げ、時にはファンを指差して、約6分間かけてグラウンドを一周した。
そして最後は三塁ベンチ前から再びダイヤモンドの中に入って、帽子をとって感謝の気持ちを伝えた。
「今日のあの球場での出来事。あんなものを見せられたら、後悔などあろうはずがありません。自分なりに頑張ってきたということははっきりと言える。野球を愛したこと。これは変わることはなかった」
野球という旅を終えることに悔いはない。