野球善哉BACK NUMBER
金子と西の移籍を逆手に変革せよ!
オリックスに期待する長期ビジョン。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byKyodo News
posted2018/12/31 11:30
ホームランを放ちベンチで迎えられるT-岡田。来季は果たしてどのような起用法で活躍するのか……注目である。
なぜ山本由伸はリリーバーになった?
投手陣の起用でも、長期ビジョンの無さが垣間見れる。
その象徴が、今季大ブレークを果たした高卒2年目の山本由伸だ。
山本は今季リリーバーとして54試合に登板して36HPをあげた。150キロのストレートと手元で変化するカットボールを武器に、15試合連続ホールドなど、支配的なピッチングを見せた。
しかし、彼がリリーバーになった経緯を辿ると……途端にビジョンのなさが感じられる。
ルーキーイヤーだった2017年シーズン、山本は先発投手として5試合に登板して1勝を挙げている。将来のエース候補としての片鱗を見せつける上々なデビューだったはずだ。
当然、今年も先発ローテーション候補入りを目指していたが、オープン戦のうちに脱落。首脳陣は「長いイニングを投げきるスタミナ不足」ということでそう決断したそうだ。ならば、その判断は悪くないと思いたい。まだ高卒2年目だ。年間トータルを考えた時に、じっくりファームで体づくりをするのは大事なことだからだ。
ところが、4月下旬になって山本が一軍昇格を果たすと、その役回りはリリーバーになっていた。
山本の将来性は是非再考すべき。
もちろん、リリーバーの役割を軽視しているわけではない。だが、先発ローテーション投手としてスタミナ不足を指摘された投手が、急にリリーバーとして一軍復帰したのだ。山本が中堅クラスの選手であれば、理解できないでもないが、高卒2年目の選手にその役を与えるところに……どうしてもチームが目先のチームづくりに陥っているように見えて仕方がない。
山本が、リリーバーとしてチームに欠かせない存在になったのは事実だ。
しかし、彼が本来持っているポテンシャル、将来を考えた時に、今季の結果を出すことだけで起用を決めていいのかと、首脳陣は考えるべきではなかったか。
本人自身もシーズン後に先発再転向を申し出ているほどだから、納得がいっていなかったのではないか。