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金子と西の移籍を逆手に変革せよ!
オリックスに期待する長期ビジョン。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byKyodo News
posted2018/12/31 11:30
ホームランを放ちベンチで迎えられるT-岡田。来季は果たしてどのような起用法で活躍するのか……注目である。
チームが生まれ変わる大チャンス!
今季は金子が開幕から不調に喘いだ。前半戦は新外国人のアルバースがカバーしたが、昨季はローテーションを守った山岡泰輔が機能せず、ルーキーの田嶋大樹を開幕ローテに入れたが、シーズン前半で離脱。故障させてしまった。
一方では先発候補の山崎福也をベンチ入りさせながら、20日間以上も登板なしにするという納得し難い扱いもあった。その中でこのオフ、チームの顔と言われた2人が、活躍の場を外に求めて出て行ったのだ。
だがこれは、見方を変えてみると……チームとして新しい船出になる良いチャンスとも言えなくもないはずだ。
これからのチームリーダーになるであろう吉田正尚、海外でのトレーニングに励んでいる宗や福田周平、ドミニカWリーグを視察した山本、最年少で選手会長に就任した若月健矢など楽しみな選手がたくさんいる。
実際、長期的なチーム作りにおいて、今のオリックスと似たような“再建期間”を考えた戦略事例もたくさんある。海の向こうメジャーリーグでは、そのような手法はざらにあり、例えばこのオフではシアトル・マリナーズが、ロビンソン・カノなど主力の多くを放出してチームの再建に乗り出している。時には、大改革を起こすために、チームの顔ともいうべき選手の移籍はあってしかるべきなのだ。
まずはそのビジョンを明確に!
オリックスは来季から監督が交代する。
ヘッドコーチを務めていた西村徳文氏が監督に就任する。風の便りでは、現一軍コーチの田口壮氏が近い将来には監督になることが内定済みで、西村監督が結果を残しても続投する可能性は薄い、とも聞いた。
西村監督はそれを承知でこの役を引き受けたのかもしれないが……もし本当につなぎ役というならば、新指揮官がその状況で何を残すことができるのだろうと、密かに注目している。現在のところ戦力的には上位チームに勝てないことは分かっているつもりだが、本当のチーム再建に向け、西村監督の手腕に期待するところはある。
ただ、再出発するにせよ、ビジョンは必要だ。
このチームには、どの人物がチームの方向性を決めて進めているのかがよく見えない、という妙なところがある。球団社長なのか、編成部長なのか、あるいは、監督なのか――。そういったことも含めて、チームの進む方向性を組織としてファンやメディアに対して明確にするところから、明るい未来を予感させて欲しいと思っている。