野球善哉BACK NUMBER
金子と西の移籍を逆手に変革せよ!
オリックスに期待する長期ビジョン。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byKyodo News
posted2018/12/31 11:30
ホームランを放ちベンチで迎えられるT-岡田。来季は果たしてどのような起用法で活躍するのか……注目である。
チームとして戦う形になり難い。
金子、西などの先発陣がゲームを作れているときはいいが、それ以外の投手が登板すると勝率が下がる。
そこを補填するために、ブルペン陣を強化していくのだが、金子・西以外の投手はすぐに交代させてしまうから、そのしわ寄せがいつもブルペンに回ってきていた。
目先の勝利に固執し、勝負所をいつに設定しているか分からない戦いを繰り返すから、順位の割に選手が疲弊しているという状況を度々生んでいたように思う。
炎上した先発投手を強制送還したり、打順をコロコロ変えたり、売り出し中の若手をたった数試合で見切ってファームに落としたりもした。
厳しさを履き違えたようにも見える、その場限りの感覚だけで采配を振るっているように見えるから……チームとして戦う形ができ上がらないのではないか、といつも危惧し続けていた。実際、長期のペナントレースをどう戦うかの、明確なビジョンがなかなか見え難いチームだった。
それは2018年シーズンも同じだった。
賛否両論だったT-岡田の1番起用。
実は、個人的に2018年の開幕前に注目していたことがあった。
それは福良淳一監督が開幕戦の1番に誰を抜擢するかということだった。
というのも、前年の2017年、福良監督は1番探しに窮していたことをよく知っていたからだ。たくさんの選手を起用する中で、8月初旬にはアーチストのT-岡田を抜擢するという思い切った策に出たこともあった。
この起用法には賛否両論が巻き起こった。本来、1番打者というのは選球眼が良くて出塁率が高く、なおかつ足のある選手を置くものだが、福良監督は適任者がいないこともあって、T-岡田に白羽の矢を立てたのだ。