1番の起用法を楽しみにしていたが……。

　ただこれには、納得いく部分が全くないこともなかった。

　プレーボール直後にいきなりホームランバッターが打席に立つという脅威があったし、下位打線がチャンスメークした時に「1番・T-岡田」は怖かったからだ。

　さらに、この時、2番に吉田正尚を起用する試合も多かったから、怖さに拍車をかけた。実際に昨シーズン、無双とも言える強さを誇っていた菊池雄星（西武）にこの打順で土をつけているのだ。

　結局、T-岡田の1番起用は10試合程度にとどまるのだが、CS争いから脱落してシーズン終盤になると、福良監督はまた「1番・T-岡田」を復帰させていた。

　だが、この時はさらに驚くことになった。

　該当者がいない中での打開策として起用していた時とは異なり、翌年に向けた育成が求められる時期の判断は、理解に苦しんだ。

　消化試合にもかかわらず、もしかすると目先の勝利しかみていないのか。

　または――翌シーズンのT-岡田・1番起用を決めているか、だ。

一度も1番で起用されなかったT-岡田。

　だから、今季の開幕戦の1番打者が誰であるかは、指揮官のビジョンを問う上ではポイントになると見ていた。

　開幕戦、T-岡田は二軍スタート。キャンプ中に脇腹を痛めたからだが、開幕翌日に一軍昇格しても、1番での起用はされなかった。

　若手のホープ宗佑磨がいたから1番はT-岡田じゃなくていい、という説明もあっただろう。だがその宗も、結局故障などがあって1番に定着することがなく、前年のように多彩な顔ぶれが1番を務めるようになっていった。

　そしてT-岡田は、今季一度も1番に起用されなかった。

　そうなると――2017年の終盤戦における「1番・T-岡田」は、その起用の根拠が薄い采配だったということにならないだろうか。

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