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「新・ビッグ3」の騒ぎ方は大丈夫?
南野・中島・堂安への期待と逡巡。 

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吉田治良

吉田治良Jiro Yoshida

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posted2018/11/29 17:00

「新・ビッグ3」の騒ぎ方は大丈夫?南野・中島・堂安への期待と逡巡。<Number Web> photograph by Getty Images

代表からは3年間遠ざかったが、その間も南野拓実のキャリアは着実に前進していたのだ。

宮市の挫折を見てしまったからこそ。

 いたずらに煽り立てる世間の風潮を、どこか斜に構えて見てしまうのは、宮市亮のブレイクとその後の度重なる挫折をいち編集者として目の当たりにしたからかもしれない。

 Jクラブを経ず、18歳でアーセナルに青田買いされた快足ウイングは、2010-11シーズンにレンタル先のフェイエノールトで欧州主要リーグの日本人最年少得点記録を更新(18歳1カ月29日)するなど、華々しいプロキャリアのスタートを切る。

 そして、2012年5月にはその才能を見込んだアルベルト・ザッケローニ監督の下で、日本代表デビューも飾るのだ。

 アイドルのような甘いマスクも手伝って、当時多くのメディアが新たなスターの誕生を、諸手を挙げて歓迎し、宮市こそがブラジルW杯に向かう日本代表の希望だと喧伝したものだ。

 しかし、それをピークに彼のサッカー人生は暗転する。怪我が、その前途を阻んだのだ。足首、ハムストリング、そして両膝。この数年はピッチに立つ時間よりも、怪我の治療とリハビリに費やす時間の方がはるかに長かった。

 果たしていま、ブンデスリーガ2部のザンクトパウリで完全復活に向けて再び歩み始めたかつての韋駄天のことを、どれほどの人が気に留めているだろう。それが勝負の世界と言われればそれまでだが、メディアもファンも宮市の教訓を忘れてはならないはずだ。

 怪我、移籍の失敗、監督との確執……リスクは至る所に転がっている。ロシアW杯出場の立役者となった井手口陽介もまた、初めての欧州移籍で心身両面のコンディションを乱し、いつの間にか影が薄くなってしまった。

それでもあの3人なら……。

 だが、そうした危惧がある一方で、あの3人ならば、メディアに持ち上げられて天狗になり、自分を見失うようなこともないのではないか、とも思う。

 11月20日のキルギス戦、彼らが揃ってピッチに立った後半の約20分間が、その根拠になる。4日前のベネズエラ戦からスタメン11人を入れ替え、現時点でのチーム内序列が誰の目にも明らかになったあの試合で、途中出場した3人はまるでレギュラーと控えのボーダーライン上にいる選手のように、鬼気迫る表情でボールを追い、ゴールを目指した。

 ここで気を緩めることの愚かさを、誰よりも本人たちが強く自覚していた。彼らなら、大丈夫かもしれない。

 かつて、1部でも多く雑誌を売ることに汲々としていた編集者は、もうひとつ「前科」を思い出す。

 宮市のデビューから約3年後。宮市に負けず劣らずの二枚目が、ヴァイッド・ハリルホジッチ体制の日本代表に初招集された。本田圭佑、香川真司に続く新たなスターの誕生を待ちわびていた編集者は当然のように飛びつき、大々的に特集を組んだ。

 しかし、招集された2試合で彼のプレータイムはわずか6分。またしても空振りに終わった編集者は十分なチャンスを与えなかった指揮官に毒づき、そして当時20歳の若者は、これを最後に代表から遠ざかるのだ。

 あれから3年──。

 彼、南野拓実は驚くほど精悍さを増して、日本代表のピッチに帰ってきた。移り気なメディアがよそ見をしている間に、もう何歩もスターへの階段を上っていた。

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