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森崎兄弟が語る“ポイチ流”の秘密。
選手のテンションが自然に上がる。
posted2018/12/07 17:30
text by
朴鐘泰Park Jong Tae
photograph by
J.LEAGUE
企画のヒントは過去にある。
4勝1分。就任間もない森保一監督率いる日本代表はなぜ強いのか。その答えはきっと1つではないだろう。だけど、その強さの理由の一端を示すページを何とかつくれないか……そう考えていた時に、ある光景を思い出した。
6年前の2012年9月29日、J1第27節、ビッグアーチで行われたサンフレッチェ広島対サガン鳥栖戦。その日の目当ては鳥栖だった。試合は4-1で広島が勝利。試合内容はまったく覚えていない。
しかしミックスゾーンのあの光景は、いまもはっきり覚えている。
実は遥か大昔、編集の仕事を始めて間もない頃、森保監督の自伝「ぽいち」の制作に携わった、と言ったら大袈裟で、少しお手伝い程度にかかわったことがあった。鳥栖目当てに取材に来ているとはいえ、あの時のポイチさんが、就任1年目にして首位を走る広島を率いているという事実に、ちょっと感慨深いものがあった。
「ピュアすぎる」満面の笑み。
試合後のミックスゾーン。衝立を挟んだ向こう側の通路に森保監督が通り過ぎようとした時、思わず声を掛けた。再会を喜んでくれて、しばし雑談して別れ際「優勝したら記事にしますので!」の返す言葉が、「優勝しなくても記事にしてくださいよ!」だった。
この時に森保監督が浮かべた、屈託のない満面の笑み。40をとうに過ぎ、酸いも甘いも知る男が浮かべるそれにまったく見えなかった。一言でいえば「ピュアすぎる」。
その後ミックスゾーンの端で、森保監督と双子の森崎和幸・浩司兄弟が何やら話しこんでいた。会話の内容はわからない。勝ち試合の直後というせいか、3人とも表情は固くない。簡単に試合を振り返っているのだろうか。それとも「これから何食べる?」といった他愛のない話なのか。
しかし、その3人が醸し出す雰囲気が妙に印象的だった。他に通り過ぎる広島の選手・スタッフが、その輪に加わることはない。話が終わった3人は、森保監督を先頭に、取材陣が見えない奥のほうへと消えた。ふと確たる根拠もなく、この3人は固い信頼関係で結ばれているんだろうな、と想像した。