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「新・ビッグ3」の騒ぎ方は大丈夫?
南野・中島・堂安への期待と逡巡。
posted2018/11/29 17:00
text by
吉田治良Jiro Yoshida
photograph by
Getty Images
きっと、「前科」はたくさんあると思う。
語呂は悪いけれど、罪状はさしずめ「メディアスターを都合よく作り出した罪」。いや、その多くは目的を果たせぬまま終わっているから「作り出した未遂」になるだろうか。
サッカー専門誌の編集者時代の懺悔である。
雑誌を1部でも多く売るためには、もちろん良い企画を読者に届けることが大前提だが、そこに万人受けするようなスターの存在があれば、なお心強い。
ただし、その絶対数は限られる。ロベルト・バッジョやデイビッド・ベッカム、現在で言えばリオネル・メッシやクリスティアーノ・ロナウドといった誰もが納得するメディアスターが、安定的に供給されるわけではないのだ。
ならば、と考える。“天然物”に限りがあるのだとすれば、意図的に生み出し、育てるしかない。有望な若手に目をつけ、「次世代のスター候補生」と銘打った特集を組んで徐々に露出を増やしていく。
けれどその大半は、こちらの淡い期待とは裏腹に、たっぷりと餌を与えられた養殖のブリのようには大成してくれないものだ。思惑通りにスターダムを駆け上がってくれるケースは、滅多にない。
スターになることを期待した選手たち。
例えばアドリアーノ。インテルで10番を背負った“皇帝”は、父の死と恋人との別れをきっかけにアルコールに溺れ、身持ちを崩した。2009年には帰国したブラジルからイタリアに戻らず、失踪騒ぎまで起こしている。
例えばアレッシャンドレ・パト。インテルナシオナル時代に出場したクラブワールドカップで脚光を浴びミランに引き抜かれた神童は、度重なる怪我に悩まされ、まだ20代の若さにもかかわらず中国リーグ(天津権建)に腰を落ち着けてしまった。
例えばボージャン・クルキッチ。バルセロナのカンテラ育ちで、メッシに勝るとも劣らない才能と謳われた逸材も、分厚い選手層に阻まれて次第に出番を減らし、'11年にローマへ移籍して以降はオランダ、イングランド、ドイツと欧州各国を渡り歩いてきた。