沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
外国人騎手の寡占状態を考える。
優れた技術に、馬主の意向も影響。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2018/11/15 07:30
11月11日の京都競馬場、11R終了時点で勝利騎手はすべて外国人騎手だった。この現象をどう理解すべきなのか。
公平性と日本競馬の発展の間で。
また、特に日本の若手騎手にとっては、あれほどの名手とともに騎乗する機会を失うのは、非常に惜しいことだ。どんなスポーツでも上達への一番の近道は、自分より上手い人とプレーすることである。ときには直接アドバイスしてもらったり、また、モレイラが乗る前と乗ったあとの馬の変化を、その背で感じるチャンスを得ることがあるかもしれない。
ただ筆者を含め、日本人は何事も公平であることをよしとする。「ルメールとデムーロがあれだけ日本語の習得に苦労したのに、片言のモレイラが一発で合格するのはどうか」という心情は、多くの人が共通して抱いているはずだ。
と言いながら、モレイラの「さすがマジックマン!」という騎乗を毎週見てみたいとも思う。
エリザベス女王杯の勝利騎手インタビューで、「将来もGIをとれるよう頑張りたい」とコメントしていたが、その「将来」はどんな立ち位置にいるのだろう。来年もまた、日本の騎手になるための努力をつづけてくれるだろうか。
とりとめのない話になってしまったが、本当にいろいろな思いが湧いてくる。
日本のホースマンの悲願である凱旋門賞を日本馬が勝つなら、その背には日本人騎手がいてほしいと、私はずっと思っていた。しかし今は、もしルメールがアーモンドアイで来年の凱旋門賞を勝てば、「チームジャパン」の勝利として、心から祝福できるように感じている。
これはある種の移り気ではない。ルメールやデムーロを「日本の騎手」と無理なくとらえている一方で、「武豊の再来」と言われる日本人の天才騎手が登場してほしいとも思うし、複雑である。