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外国人騎手の寡占状態を考える。
優れた技術に、馬主の意向も影響。
posted2018/11/15 07:30
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Yuji Takahashi
先週の日曜日、11月11日の京都競馬において、第1レースの2歳未勝利戦からメインの第11レースのエリザベス女王杯まで、外国人騎手が11連勝した。前日の第11、12レースをミルコ・デムーロが勝っていたので、トータルでは13連勝ということになる。
それまで、外国人騎手による1日の同一競馬場での最多勝記録は、今年の天皇賞・秋が行われた10月28日の東京などの「8」だった。
大相撲の番付ではないが、リーディングトップはクリストフ・ルメールの191勝、2位はデムーロの136勝。3位戸崎圭太の102勝、4位福永祐一の88勝を大きく上回っている。
短期免許で167鞍しか乗っていないジョアン・モレイラでさえ、63勝を挙げて総合15位に食い込んでいる。モレイラは、勝率2割で一流と言われる騎手界にあって、勝率3割7分7厘、連対率5割2分1厘という驚異的な成績をおさめている。
2002年12月7日に武豊が阪神でJRAレコードの一日8勝を挙げたときとは、種類の異なる偏りが生じている。
その武しか達成していなかった年間200勝突破を、ルメールは確実にやってのけそうな勢いだ。
日本人騎手はいま何を思う。
こうした現象は、ジャパンカップ創設などに始まる、「世界に通用する強い馬づくり」に不可欠な「日本競馬の国際化」が進んだ結果の正常な姿なのだろうか。
いや、このままではいけない――と、少なくとも、日本人騎手は思っている。
エリザベス女王杯でクロコスミアに騎乗し、絶妙なペースで逃げた岩田康誠は、モレイラのリスグラシューにクビ差かわされ2着となり、「(外国人騎手の連勝を)止められなかったことも悔しい」とコメントした。
それはファンも同じで、その日、最終の第12レースを藤岡佑介の馬が勝ったときは、京都競馬場全体が「はあ、やっと止めたか」とため息をついたような感じだった。が、そのレースでも2~4着は外国人騎手だった。