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なぜU18ジャパンは打てなかったか。
木のバット、牽制、ストライク。 

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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photograph byKyodo News

posted2018/09/12 11:30

なぜU18ジャパンは打てなかったか。木のバット、牽制、ストライク。<Number Web> photograph by Kyodo News

金属バットから木製バットへの移行は簡単ではない。高卒の打者が投手よりも成長に時間がかかるのはその影響もあるかもしれない。

藤原恭大が「ポイント」でもアウトに。

 今年は8月21日に甲子園の決勝戦が行われ、日本代表は25日に集合。そこから9日後にアジア選手権が開幕。木製バットでの準備期間がわずかしかなく、その対応の難しさを多くの選手が口にしていた。

 今夏の甲子園で3本の本塁打を放った大阪桐蔭の4番・藤原恭大は、金属と木製の感覚の違いをこう表現した。

「金属バットは当てただけの打球でも飛んでいくんですけど、木のバットは自分のしっかりしたスイングじゃないと飛ばない。仕留められるボールを、仕留められない。金属バットならホームランになるボールが、セカンドゴロになったり、打ち損じてしまう。

 自分の中で、『ここに来たら打てる』というポイントに来ているのに、アウトになってしまう打球が多いんです」

 藤原が「木のバットへの対応が少しわかった」と手応えを得たのは、大会最終日、中国との3位決定戦の最終打席だった。

韓国、台湾は高校生も木のバット。

 一方、今大会で優勝した韓国と準優勝の台湾では、高校でも木製バットが使われている。

 今大会は当初、日本と韓国が2強と見られていたが、台湾は日本を破り、決勝では韓国を相手にタイブレークに持ち込む健闘を見せた。台湾代表は、国内の大会で優勝したチームから8人、準優勝チームから4人、残りの6人は3位以下のチームから選出され、約1カ月半の合宿を経て大会に臨んだという。

 台湾では、中学までは金属バットを使用し、高校で木製バットに移行する。高校の大会には、木製バットを使用する大会と金属バットを使用する大会の両方があるが、金属バットの大会には主に1年生が出場する。1年生のうちに木製バットに慣れ、2年生からは木製バットの大会に出場するのだという。

【次ページ】 台湾の監督「金属バットだと打つだけで点が入る」

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