“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
昌子源の悔しさに学んだ高校3年生。
“鹿島のCB”を背負う男、関川郁万。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2018/08/31 16:30
Jクラブ入りによる異常な期待にもようやく応える覚悟ができた、という関川郁万。
「さすが関川」のプレーを連発!
インターハイ予選の後、シーズン前期のラストゲームとなった7月15日のプレミアイースト第9節・鹿島アントラーズユース戦で、関川は気迫のディフェンスを見せた。
結果、1-0の完封勝利。
まさに「さすが関川」というプレーを見せたわけだが、この試合で今度は左足首をねん挫する。だが、この怪我で1カ月近く離脱した後の再復帰戦となった8月25日のプレミアイースト第10節の清水エスパルスユース戦でも、DFラインをしっかりと統率して0-0のドローと2試合連続の完封を果たした。
「どんなに点が入らなくても焦れずに守り続けるのがCBの仕事。ゼロで抑えれば、延長戦を含めて、90分、120分間の試合で負けることは絶対にない。それぞれの状況に応じた意識と頭の回転の速さが大事になって来ると思う。その状況に適したプレーでチームを引き締められる存在になりたいです」
昌子、そしてチョン・スンヒョンの気迫。
冒頭で紹介した彼の言葉を覚えているだろうか。
「CBとして鹿島アントラーズに入団をするということが、どういうことなのかを改めて感じました」
会話の中で一番熱がこもっていたこの言葉は、昌子だけでなく、新加入した韓国人CBのプレーにも反映されていた。
「目標でもあった植田直通選手がベルギーに移籍をしてしまったことは残念なのですが、代わりに加入したチョン・スンヒョン選手のプレーを観て、心から『凄い選手だな』と思ったんです。入団したばかりなのに、『前からずっとこのチームにいるよ』と思わせるくらいフィットして、DFラインを統率している姿は凄く刺激になりました」
秋田豊、大岩剛、岩政大樹、昌子源、植田直通、そしてチョン・スンヒョン。この系譜に関川郁万の名前を刻むべく、「偉大な教え」を胸に彼は今を精一杯生きている。
何事にも屈せず、闘志をむき出しに戦う鹿島のCBの血を滾らせて――。