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日本バスケット界に貢献したい!
米国大学で文武両道目指す鍵冨太雅。
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byYoko Miyaji
posted2018/08/16 07:00
同年代の選手に揉まれて米国で急成長している鍵冨。フィジカルの問題は、欧米で活躍を願う日本人アスリート共通の課題である。
7年ぶりの思いがけない再会。
シーズン中には嬉しい再会もあった。
リバーサイド・ホークスでチームメイトだった選手が2人、同カンファレンスの対戦相手にいたのだ。1人はブリュースター・アカデミーのアイザイア・ムーシウス(今秋からウェイクフォレスト大に進学)、もう1人はノースフィールド・マウント・ハーモンのデイビス・フランクス(今秋からブラウン大に進学)。
「ニューヨーク時代のチームメイトと対戦することができて、懐かしいというか、楽しい」と、7年ぶりの思いがけない再会を喜んだ。
リバーサイド・ホークスでもSTMでも、アジア人の選手は自分ひとり。アジア人はバスケットボールがうまくないという偏見を感じることは当時も今もあるという。
「世間一般的に見たらアジア人ってうまくないじゃないですか。だから、リバーサイド・ホークスのときは、1対1で勝ってアピールしても最初は信用してもらえなかった。そういう苦労はありました。
今も、試合に出たときに、自分がマークしている相手のエースからアイソレーション攻撃を仕掛けられたりします。でも、自分ではディフェンスが得意だと思っているんで、そうやって来てくれたらラッキーだと思っていて、『来るんだったら来いよ』みたいな感じで思っています。舐められるから、試合前のアップでダンクしたり、『こいつ、もしかしたらうまいんじゃないか』ぐらい思わせるようにはしています」と笑う。
アメリカに来たことは間違いではなかった!
体格やパワーの差などに苦労することはあっても、またアメリカに戻り、バスケットボールをできる充実感は毎日感じていた。
「バスケしているときが楽しいですね。アメリカに来てやったことは全然間違っていなかったなってすごく思うときがあって。
試合でいいプレーをしたときに、観客やベンチが盛り上がったり、試合が終わった後に次の対戦相手の試合の観戦をしていると、いろんな人から『グッド・ジョブ(よかったよ)』と言われたり、他のチームの選手の親とかからも『君、いいプレーするね』とか言われたり。
日本では、そうやって話しかけられたりという経験がなかったけれど、アメリカは自分のチームの選手でも相手のチームの選手でも、うまいと思ったら『君、いいプレーするね』って言ってくれます。コート上で活躍した選手の実力を認めたら、素直に口に出して褒めるっていうアメリカの文化はすばらしいなって思う。そういうところが、こっちでのバスケットの楽しいところですね」