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日本バスケット界に貢献したい!
米国大学で文武両道目指す鍵冨太雅。
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byYoko Miyaji
posted2018/08/16 07:00
同年代の選手に揉まれて米国で急成長している鍵冨。フィジカルの問題は、欧米で活躍を願う日本人アスリート共通の課題である。
「大丈夫だ。できるから心配するな」
「今までやってきたことを疑ったりして、自信をなくし、自分を信じられないときがあった」と鍵冨は振り返る。
そんな時にヘッドコーチのジェリー・クインは「大丈夫だ。できるから心配するな」と声をかけてくれた。
「あのときの彼は不安そうだった。でも、不安になるのは悪いことではない。それはうまくやりたいと思っているということだからね」とクインHCは言う。
そんな前向きなアドバイスに励まされ、鍵冨も慣れるまで待つのではなく、自ら課題に向き合った。
「最初にコーチに言われたのは、シュートを速くしろということ。そのために朝6時に起きて、まだ暗い中、寮から歩いて体育館まで行き、ひたすらシューティングをやった」と鍵冨。
シュートが得意なチームメイトといっしょに練習し、彼のシュートの真似をしながら、ブロックされないようなアーチの高さや速いリリースを意識して練習した。
「知的な選手。プレーの理解度が高い」
もうひとつは身体の強さ。
アメリカ人選手を相手にしても当たり負けしないように、食事やトレーニングで体重を増やす努力も続けた。
そんな鍵冨を、クインHCは「知的な選手。どうプレーしたらいいのかの理解度が高い」と評価する。
「チームで一番のディフェンダーだ。コート全体をよく見ていて、相手の動きをうまく予知している。大学であと15ポンド筋肉をつけたら、すごくいいディフェンダーになると思う。オフェンスでは試合の流れを理解し、色々なことを少しずつできて、自滅することがない。チームにとって欠かせない接着剤的な存在だ」
クインHCが何よりも評価するのが、努力家なところ。自ら朝練やウェイトトレーニングを続けたように、シーズンを通して手を抜くことなく努力した結果、「シーズンを通してチームで最も成長した選手だった」と称賛する。その努力とチームと学校への貢献が認められて、卒業式では最優秀学生アスリート賞とコーチアワードを受賞した。