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元ロシア代表の“レジェンド”が激白。
「ロシアサッカーはカオスだ!」
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フィリップ・オクレールPhilippe Auclair
photograph byPierre Lahalle
posted2018/06/26 07:00
![元ロシア代表の“レジェンド”が激白。「ロシアサッカーはカオスだ!」<Number Web> photograph by Pierre Lahalle](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/3/f/700/img_3f7d01a5895d7a359a0251e0227c327e214606.jpg)
ロシアW杯において、ロシア代表チームは、南アW杯時の南ア代表チームのように、グループリーグで敗退すると思われていたが……。
有望な若いロシア人選手が国内で腐っていく……。
この不均衡は、これから飛躍を遂げようとする能力のある若い選手には大きな障害となる。
ゼニト(サンクトペテルブルク)で、良いプレー環境の中でレベルの高い相手と対戦した後、次はトムスクに行かねばならないからだ。トムスクでの対戦は、シベリアの大地の真っただ中、劣悪な環境での人工芝の試合となる……。
あるいはハバロフスクまで行かねばならないかも知れない。
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モスクワから飛行機で8時間。荒廃したスタジアムにはほとんど観客はいない。そこで思うのはたったひとつのことだけだ……できる限り早くこの最悪な状況から抜け出したいと。
こんな環境の中で、才能ある若い選手がどうやって進歩できるのか?
本当にレベルの高いゲームが経験できるのは、リーグの中でも3つか4つのチームとの対戦くらいで、他の試合はただただ試合終了のホイッスルを待つだけの酷いプレーとなる。
他のサッカー大国では、有能な選手がこのような劣悪な環境で消えていくことは考えられないだろう。だが、栄光あるロシアサッカー界の既存の構造が消滅し、無能な人々が決定権を握るようになってからは……若い才能がはばたく機会は完全に失われた。
国内リーグの堕落が代表チームを弱体化させている。
だが、世界的なビッグスターたちにとっては、ロシアリーグはとても居心地がいいだろう。
他の国で毎週末のように自らの存在理由をかけて必死に戦わねばならない試合は、ここロシアでは2カ月に一度程度しかないからだ。
ところがそうした試合に臨むのを彼らは嫌う。過分な収入は得ている。スタメンも保障されている。いったいどんなリスクを冒す必要があるのか……。
こうした状況は、イングランドのプレミアリーグやドイツのブンデスリーガでは考えられない。
そしてその被害の影響を最も受けているのが、ロシア代表なのである。
なぜなら、ほとんどのロシア代表選手がロシアリーグに所属しているのだから。