ロシアW杯PRESSBACK NUMBER
ネイマールより目立つコウチーニョ。
ブラジルを甦らせた元「豪華な脇役」。
posted2018/06/26 08:00
text by
下薗昌記Masaki Shimozono
photograph by
Getty Images
世界最多となる5度のワールドカップ制覇を誇るブラジル代表。その栄光の歴史を紐解くと、世界の頂点に立ったカナリア軍団には常に世界屈指のデュオが存在してきた。
17歳のペレが鮮烈な世界デビューを飾った1958年のスウェーデン大会では天才ドリブラー、ガリンシャがそのドリブルで世界を魅了。36年の歳月が流れた1994年のアメリカ大会ではエース、ロマーリオと世界最高の2トップを形成したのがベベットだった。そして、サッカー王国が5度目の優勝を飾った2002年の日韓大会で、大会得点王(8点)のロナウドに次いでゴールネットを揺さぶったのが、計5得点を叩き出したリバウドである。
ロシアの地で6度目の世界王者を目指すブラジル代表のエースがネイマールであることは言うまでもないが、王国復権の鍵を握るもう1人の男が、グループステージの2試合でその輝きをギラリと放った。
「豪華な脇役」の1人のはずだった。
グループステージ初戦のスイス戦で鮮烈な先制ミドルを叩き込み、勝点3が不可欠だったコスタリカ戦でも後半アディショナルタイムに貴重な決勝ゴール。2試合連続でマンオブザマッチに選出されたコウチーニョは、未だ本調子に程遠いネイマールに代わってチームを牽引している。
グループステージ敗退の危機に晒されているアルゼンチンが、メッシ頼みのチーム作りで低空飛行を続けているのとは対照的に、ブラジルは、かつての悪癖だった「ネイマール依存症」から完全に抜け出した。
首位で通過した南米予選では7得点のガブリエル・ジェズスがチーム得点王。ネイマールとパウリーニョがそれぞれ6得点で存在感を発揮し、4得点にとどまったコウチーニョは「豪華な脇役」の1人のはずだった。