フランス・フットボール通信BACK NUMBER
元ロシア代表の“レジェンド”が激白。
「ロシアサッカーはカオスだ!」
text by
フィリップ・オクレールPhilippe Auclair
photograph byPierre Lahalle
posted2018/06/26 07:00
ロシアW杯において、ロシア代表チームは、南アW杯時の南ア代表チームのように、グループリーグで敗退すると思われていたが……。
たった一度のW杯では何も変わらない。
ロシアサッカーが抱える諸問題は、たった1回のワールドカップでは解決されない。
またロシアにおいては“フーリガニズム(観客の暴徒化)”は問題ではない。
海外へは極端に伝えられているかもしれないが、ワールドカップでは問題にならないだろう。セキュリティについては、ロシアはいつでも万全を期すからだ。
さらにドーピングに関しても、サッカー界への影響が考えられるにしても語るつもりはない。中国やアメリカが、ロシアほど酷くはないと誰が言い切れるだろうか。
それよりも私にとっての問題はスポーツに関してのことで、ときに矛盾しているように見える構造的な諸問題だ。
国内リーグでプレーする方が楽だし儲かる。
特権を受けている一部のクラブは短期的な利益が保証されている。だからじっくりと若手を育てようとしない。
有り余る金銭を活用して、名のあるビッグスターを国外から買い集めるほうが手っ取り早いからだ。代理人に電話をすれば、すぐにでも有能な選手を獲得できる。
他方で能力のある若手は、いとも簡単にスターに祭りあげられる。
アレクサンドル・ゴロビン(CSKA)やアラン・ザゴエフ(CSKA)は、イングランドやイタリアに行っていたらそれなりの選手になっていただろう。アレクサンドル・ココリン(ゼニト)も同じだ。
しかし彼ら自身にしてみれば、ロシアでプレーし続けるほうがずっと幸福なのである。
私にも、それはよく理解できる。
数百万ユーロのサラリーを保障され、葉巻を吸いながらの贅沢な生活が保障されるのだから。