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イニエスタ「パスこそが最善の方法」
シャビらが語るその本当の特別さ。

posted2018/06/25 07:00

 
イニエスタ「パスこそが最善の方法」シャビらが語るその本当の特別さ。<Number Web> photograph by Florent Torchut

イニエスタの故郷、人口2000人ほどのフエンテアルビージャ村。広場には、2010年のW杯決勝で伝説のゴールを決めたヒーローの銅像が立つ。

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パトリック・ウルビニ

パトリック・ウルビニPatrick Urbini

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Florent Torchut

『フランス・フットボール』誌5月29日発売号は、2017~'18年シーズンの総集編号だが、同時にこのシーズン限りでバルセロナを離れ、ヴィッセル神戸への移籍を果たしたアンドレス・イニエスタの特集も長いページにわたって掲載されている。

 少年時代のルポやバルセロナ時代の総括など、同誌がひとりの外国人選手にこれだけのページを割くのはそうあることではない。

 特集の中でパトリック・ウルビニ記者が分析しているのが、イニエスタの具体的なプレーについてである。“マシア(バルセロナの育成組織)”という環境のなかで、どうしてイニエスタのような選手が生まれたのか。彼の特異性はいったいどこにあるのか。

 イニエスタ本人のみならず、シャビはじめさまざまな人々のコメントから、ウルビニ記者がイニエスタという選手の本質を浮き彫りにしている。

監修:田村修一

スペインが生み出した史上最高のタレント。

 アンドレス・イニエスタがバルセロナのために自らの全ての能力と知性を働かせるのは、昔から当然のことだった。彼にとってそれは、試合のすべてのプレーを予知して的確に対処し、最善かつコレクティブな解決策を提示し、チームメイトを動かすことであった――。

 2015年5月、カンプノウでのファンとの別れを5日後に控えてシャビは、スペインの新聞『エル・パイス』のインタビューでこんな素晴らしいコメントを残している。

「サッカー? ボールと何人かの仲間がいればすぐに始まるよ。ミニゲームをやってもいいしサークルでもいい。ビーチの砂浜や家の庭でパスを回してもいい。子供たちは校庭で笑いながらボールを追いかけているだろう。それこそが『サッカー』なんだ」

 プレーについて、パスについて、サッカーの喜びについて……。

 付け加えたように勝利についても。

 だが、それら以上にシャビの発言で胸を打ったのは、バルセロナでの仲間たちと分かち合ってきた至福の時間への言及であった。

 それから3年がたち――“シャビの兄弟”“双子の弟”とも言われ、シャビをして「スペイン・サッカーが生み出した史上最高のタレント」と言わしめ、ミッドフィールダーにとり最も重要なふたつの資質「プレーを構築し、相手のバランスを崩すことができる」能力を持ったイニエスタが、バルセロナを離れる日がやってきた。

 同じ質問をすれば、イニエスタの口からも同じ言葉が、シャビと同じ気品と繊細さ、シンプルさを感じさせながら発せられたことだろう。

【次ページ】 シャビとイニエスタの素晴らしい補完性。

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