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ペトロヴィッチの幻影に惑う浦和。
立ち返り共感し合える原点はあるか。 

text by

塚越始

塚越始Hajime Tsukakoshi

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photograph byJ.LEAGUE

posted2018/04/05 16:30

ペトロヴィッチの幻影に惑う浦和。立ち返り共感し合える原点はあるか。<Number Web> photograph by J.LEAGUE

昨季のアジア王者が5戦未勝利で苦しむ。浦和を取り巻く現状はJリーグ特有の難しさを感じさせる。

「陽介が1人で背負い込みすぎている」

「選手がチームのために戦う、サポーターのことを背負っている、それを体現していってほしい」と訴えていた大槻暫定監督は、初陣のルヴァンカップ広島戦でリーグ戦からスタメンを総入れ替えした。大ケガを乗り越えた福島春樹、期待の大卒新人の柴戸海、キャプテンマークをつけた山田直輝らが先発し、チームの力になりたいという想いをぶつけた。

 ベンチにはチームを支えてきた、平川忠亮、柏木陽介らがスタンバイしていた。

 浦和での在籍17年目を迎える平川は、新キャプテンの柏木のことを気に懸ける。

「(柏木)陽介が1人で背負い込みすぎている。1人でどうこうできる問題ではない。チーム全体の問題として捉え、全員でやっていかないといけない。陽介が抱え込み、プレー面に影響を与えないようにしていきたい」

 選手たちは責任を抱え込み、精神的にも相当なダメージを受けている印象だ。チーム最年長のベテランは、柏木とともに大槻暫定監督へのサポートを惜しまないと語る。

「暫定とはいえ大槻さんはこうした状況を建て直す力がある。僕も付き合いが長いので、局面をきっちりコントロールできる人だと知っている。1試合1試合、練習の1つひとつを大事にしていきたい」

平川が強調する「原点」の重要性。

 選手もスタッフも、揃って口にするのは「一体感の大切さ」だ。ただ、平川はその「1つになる」ことの難しさも訴える。

「(堀前監督のもとで)チームとして上手く同じ方向を向けず、結果を出せなかった。新たなスタートを切り、全員で模索しながら1つの方向に向かっていかなければ。それにはまず監督が軸になる。

 今は大槻さんのもと、いかに1つになるか。口で言うのは簡単だが、プレーの1つひとつの部分、どういったビジョンを持って90分間戦っていくのか。それができないと、非常に厳しい」

 1つひとつのプレーでビジョンをいかに共有して戦うべきか。そこが大切だと平川は強調した。ビジョンとは、クラブの在り方にも置き換えられるだろう。

 一体、浦和レッズとは?

 その問いに、立ち返り共感し合える「答え=原点」を欲している。

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