欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
ブラジルやスペインから学ぶもの。
ハリルJに目指すべき理想はあるか?
text by
吉田治良Jiro Yoshida
photograph byGetty Images
posted2018/04/05 07:00
目標はあくまでもW杯での記録を塗り替える、ベスト16突破なのだが……。
ブラジルサッカーのスタイルは揺るがない。
立ち上がりから主導権を握り続けていたブラジルは、このワンプレーを境にしばし相手の攻勢を許すことになる。
だが、D・アウベス自身がこれで消極的になることも、ベンチから自重するよう指示が出ることもなかった。攻撃力こそが彼の最大の持ち味であり、違いをもたらす原動力であることを誰もが認めているからだ。
ある程度の守備のリスクは織り込み済みなのだろう。
わずか10分後、D・アウベスは先ほどのミスなどなかったかのように、平然とウィリアンに決定的なラストパスを供給している。
では「弱者のサッカー」に徹するのか?
結局、ロシアを3-0で粉砕したブラジルはさらに4日後、仇敵ドイツにも1-0の勝利を収めた。
もちろん、今の日本代表に、このロシアW杯の大本命と同じように“演技構成点”の高いサッカーをしろとは言わない。しかし、単調なリズムでロングボールを放り込み、分の悪さを承知の上で無謀なデュエルを挑むだけのハリル・ジャパンの限界は誰の目にも明らかなはずだし、そのやり方が日本人選手の特性に合っているとも思えないのだ。
いわゆる「日本人らしさ」を追求した2つの代表チームがW杯でグループリーグ敗退に終わった過去('06年大会と'14年大会)を踏まえ、ベスト16以上の結果を求めるなら「弱者のサッカー」に徹するしかないという意見もある。
しかし、それでは大会直前の大転換でその場しのぎの成功を収めた'10年南アフリカ大会から、なんら進歩がない。