フランス・フットボール通信BACK NUMBER
ネイマール加入でPSGはCL制覇できる?
『フランス・フットボール』が徹底検証。
text by
パトリック・ウルビニPatrick Urbini
photograph byAlexis Reau/L'Equipe
posted2017/09/27 17:00
ネイマール、ムバッペ、カバーニの連係が、PSG躍進のすべての鍵となるわけだが……。
(2)誰が真のリーダーかハッキリさせる必要が。
ブラジル代表におけるネイマールが卓越した技術を持つ攻撃のリーダーであるならば、ダニエウ・アウベスはウナイ・エメリによれば「ポジティブなメンタリティを持つ、生まれながらのコンペティター(競争者)」であり、レイナルド・デヌエクス(元ナント、レアル・ソシエダ監督)の言葉を借りれば「飛び抜けて知的でコレクティブな、すべてに長けた選手」である。
チアゴ・モッタがリーダーシップを維持し続ければ、あるいはチアゴ・シウバがシーズン当初のようなインテンシティの強いプレーを続け、またマルコ・ベッラッティがチームへの影響力を回復すれば……PSGは船頭過多の状態に陥る。
能力の高い選手たちを統率するのは難しい。そこがチームとして調和がとれていた2015年のバルセロナ(メッシ、イニエスタ、シャビ、ピケ、ブスケッツ、マスチェラーノ)や、今日のレアル(クリスティアーノ・ロナウド、セルヒオ・ラモス、マルセロ、モドリッチ、クロース、イスコ)との違いとなって現れるかも知れない。
(3)中盤のオプションの欠如。
エメリにとってこの夏の最優先課題のひとつは、「ある状況が再び生じることがないように」それぞれのポストにふたりの選手を確保することであった。前線と最終ラインに関しては、彼はかなりの成果を上げた。だがプレーの心臓部――チームバランスと攻守の要であり、プレーのリズムを生み出す中盤は、話がまったく異なる。
昨季同様に3人(ベッラッティ、チアゴ・モッタ、ラビオ)で構成するにせよ、あるいは4-2-3-1に移行するにせよ、プランBを想定しえないのである。それでも敢えて作れば、ロセルソ、ヌクンク、カレガリの3人になる。最も深刻なのは、「ボールを奪うだけでなく、テクニックに秀でて攻撃にリズムを与え、さらに戦うこともできる」(エメリ)チアゴ・モッタの代役がいないことだ。
現状では2015年バルセロナのラキティッチ、ブスケッツ、イニエスタのトリオや、レアルのクロース、カゼミーロ、モドリッチのトリオとは比べるべくもない。レアルにしても、このセクションにはジダンがそれぞれ2人目を用意している(コバチッチとイスコ、アセンシオ)。