セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
インテリスタの愛情はもう冷えた。
長友佑都、7年目に味わう言語の壁。
text by
![弓削高志](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/f/0/-/img_f0322fcff461573562ec362ae5a289399973.jpg)
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2017/06/30 11:00
![インテリスタの愛情はもう冷えた。長友佑都、7年目に味わう言語の壁。<Number Web> photograph by AFLO](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/b/c/700/img_bc776ad12d6ef67d664b6e62c10e6694127266.jpg)
サイドライン近くを90分間にわたって上下動する姿こそが長友らしさである。ベンチを温め続ける姿は似合わない。
故障がないのに、昨季リーグ戦は16試合出場だけ。
クラブ在籍7シーズン目にあたる昨季、長友のリーグ戦出場数は16試合だった。
14試合に留まった2シーズン前には合計出場時間が900分を下回った。しかし、当時は肉離れや発熱、また日本代表のスケジュールとの兼ね合いで16試合も欠場があった。
一方で大きな故障もなかった昨季、背番号55がベンチで試合を傍観した試合は21試合にも上る。
ADVERTISEMENT
長友は、32節のミラノ・ダービーから最終節にかけて、故障したDFアンサルディのバックアッパーとして7試合すべてに出場。うち6試合に先発したが、その間チームは14失点を重ね、ダービーでのドローを挟み泥沼の6連敗を喫した。
35年ぶりに8戦連続勝ち星なし、という屈辱を味わった36節サッスオーロ戦では、ついにサン・シーロのウルトラスが応援をボイコット。インテリスタが陣取るクルヴァ・ノルド(北側ゴール裏席)がもぬけの殻になる異常事態まで起きた。
寡黙な守護神ハンダノビッチが「ファンの嘆きもわかる。俺がインテルに来た2012年から今が最悪の時期だ」とぼやいたほど、ロッカールームにも悲観論が渦巻いた。
現地紙に「お遊び並みの軽率さ」と叩かれたミス。
長友は、これまで何度も逆境から這い上がってきた。しかし、昨季の彼はプレー時間が少なかったにも関わらず、試合の勝敗を左右する致命的なミスをあまりに多く重ねすぎた。これは印象ではなく事実だ。
昨秋のELサウサンプトン戦では相手の決勝点となるオウンゴールを献上したが、現状の長友への評価を決定的にしたのは、4月末に0-1で敗れたナポリ戦でのパフォーマンスだろう。
張オーナーの御前試合に左サイドバックとして先発した長友は43分、ナポリのFWインシーニェが上げたクロスに合わせて、守る側から見て左ポスト手前へ詰めた。
目の前で弾んだボールを、長友は「メタボ体型の独身男チームと妻帯者チームが公園で蹴り合うお遊びミニゲーム並みの軽率さ」(ガゼッタ・デッロ・スポルト紙)で、後ろに逸らした。
中途半端に短い、山なりのクリアは背後に忍び寄ったFWカジェホンへ絶好の“アシスト”になった。そしてカジェホンが難なく陥れたゴールの後も、目を疑うような長友のミスは続いた。