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インテリスタの愛情はもう冷えた。
長友佑都、7年目に味わう言語の壁。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2017/06/30 11:00

インテリスタの愛情はもう冷えた。長友佑都、7年目に味わう言語の壁。<Number Web> photograph by AFLO

サイドライン近くを90分間にわたって上下動する姿こそが長友らしさである。ベンチを温め続ける姿は似合わない。

故障がないのに、昨季リーグ戦は16試合出場だけ。

 クラブ在籍7シーズン目にあたる昨季、長友のリーグ戦出場数は16試合だった。

 14試合に留まった2シーズン前には合計出場時間が900分を下回った。しかし、当時は肉離れや発熱、また日本代表のスケジュールとの兼ね合いで16試合も欠場があった。

 一方で大きな故障もなかった昨季、背番号55がベンチで試合を傍観した試合は21試合にも上る。

 長友は、32節のミラノ・ダービーから最終節にかけて、故障したDFアンサルディのバックアッパーとして7試合すべてに出場。うち6試合に先発したが、その間チームは14失点を重ね、ダービーでのドローを挟み泥沼の6連敗を喫した。

 35年ぶりに8戦連続勝ち星なし、という屈辱を味わった36節サッスオーロ戦では、ついにサン・シーロのウルトラスが応援をボイコット。インテリスタが陣取るクルヴァ・ノルド(北側ゴール裏席)がもぬけの殻になる異常事態まで起きた。

 寡黙な守護神ハンダノビッチが「ファンの嘆きもわかる。俺がインテルに来た2012年から今が最悪の時期だ」とぼやいたほど、ロッカールームにも悲観論が渦巻いた。

現地紙に「お遊び並みの軽率さ」と叩かれたミス。

 長友は、これまで何度も逆境から這い上がってきた。しかし、昨季の彼はプレー時間が少なかったにも関わらず、試合の勝敗を左右する致命的なミスをあまりに多く重ねすぎた。これは印象ではなく事実だ。

 昨秋のELサウサンプトン戦では相手の決勝点となるオウンゴールを献上したが、現状の長友への評価を決定的にしたのは、4月末に0-1で敗れたナポリ戦でのパフォーマンスだろう。

 張オーナーの御前試合に左サイドバックとして先発した長友は43分、ナポリのFWインシーニェが上げたクロスに合わせて、守る側から見て左ポスト手前へ詰めた。

 目の前で弾んだボールを、長友は「メタボ体型の独身男チームと妻帯者チームが公園で蹴り合うお遊びミニゲーム並みの軽率さ」(ガゼッタ・デッロ・スポルト紙)で、後ろに逸らした。

 中途半端に短い、山なりのクリアは背後に忍び寄ったFWカジェホンへ絶好の“アシスト”になった。そしてカジェホンが難なく陥れたゴールの後も、目を疑うような長友のミスは続いた。

【次ページ】 長友と同じくらいの小兵メルテンスにまで競り負けた。

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