セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
インテリスタの愛情はもう冷えた。
長友佑都、7年目に味わう言語の壁。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2017/06/30 11:00
サイドライン近くを90分間にわたって上下動する姿こそが長友らしさである。ベンチを温め続ける姿は似合わない。
言語と文化の壁はなおも大きいのでは、と思う。
筆者個人の経験と見解を言わせてもらえるなら、言語と文化の壁はなおも大きいのでは、と思う。
母国語でない言語の罵りや悪口めいた非難は、それに耳慣れた身になればなるほど、ダイレクトに受け取りやすい。
今シーズンは開幕から出場機会に恵まれず、終盤戦にになってようやく訪れたチャンスに結果を残せない苛立ちはあったはずだ。現地の言語や文化に適応しようと努力し続けてきたがゆえに、いつの間にか長友の言語センサーが過敏に反応するようになったとしてもおかしくない。
長友が、インテルという刺激もストレスも大きなクラブに来てから7年が過ぎた。
7年という時間は長い。長友は件のツイートで「厳しい環境に身を置くことの誇り」と書いたが、厳しいばかりでは人の精神は擦り切れる。
スパレッティの優先する補強ポイントは最終ライン。
今夏、インテルの補強戦略を仕切っているのは誰あろう、元ローマの名物フロント、サバティーニだ。
兄弟クラブである江蘇蘇寧を含め、蘇寧グループのテクニカル・コーディネーターという肩書きを得た彼は、ローマ時代の盟友スパレッティを古巣から引き抜いたのを手始めに、精力的な補強を画策している。
コマがある程度揃っている攻撃陣に対し、新指揮官が最優先と言い切る補強ポイントはDFだ。
守備陣の立て直しには、センターバックコンビの再編成とサイドバックの充実が肝だ。現時点で4バックの両サイド予想はDFダンブロージオとDFアンサルディだが、スパレッティは「DFは必ず2人獲る。ベンチにも強力なリザーブプレーヤーが欲しい」と強調している。
今季、ベンチで苦悩する顔が多かった長友を見るたびに、かつての底抜けのサッカー少年の笑顔を思い出した。
南アフリカW杯を終えて、セリエAに乗り込んできた7年前の夏。イブラヒモビッチとロナウジーニョのいたミランに大金星を上げた晩のエネルギッシュな笑顔。
長友佑都は走ってこそなんぼだろう。