セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
インテリスタの愛情はもう冷えた。
長友佑都、7年目に味わう言語の壁。
posted2017/06/30 11:00
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
AFLO
南京の家電王、張近東にインテルが買収されてから、1年が過ぎた。
「フォッザ・インダ!」
慣れないイタリア語で「フォルツァ・インテル(頑張れ、インテル)」と言いたかった新オーナーによる珍妙な発音の激励は、カルト的人気を博したものの“チャイニーズ・インテル”門出のシーズンは、ヨーロッパリーグ(EL)でのグループリーグ早期敗退とセリエAでの7位低迷という散々な結果に終わった。
昨年の今頃、インテルの監督はまだマンチーニだったはずだが、南京の蘇寧グループ本社は1年で4回も監督の首をすげ替えた。欧州サッカー進出の2シーズン目に臨む彼らが、また新たな指揮官の招聘を躊躇う理由はない。
戦術家スパレッティを招聘し、巻き返しを図るが。
捲土重来を託されたのは、2016-2017シーズンまでローマを率いていた監督スパレッティだ。
国内外7つのタイトル歴を持つスパレッティは有能な指導者だが、名うての皮肉屋としても知られる。オーナー詣でとなった南京での所信表明でも、これから指導する選手たちへ警告することを忘れなかった。
「インテルの監督になって、何のタイトルも獲れないのであれば、私は何の価値もないも同然。私が望むのは、勝利を常とするチームだ。もし、今の時点で『俺は名門インテルの選手だ』と思い上がる輩がいれば、よそへ行ってもらって結構」
スパレッティは、ローマ時代にも好んだ4-2-3-1をチーム戦術の基本に置くことを表明している。知己である前任者ピオリも同じ布陣を多用していたから、現チームにも馴染みがある。
ただし、そこにDF長友佑都の立ち位置が見えてこないのは気がかりだ。