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ピッチに響く久保建英の甲高い声。
U-20でも発揮し始めた中心感。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byAFLO
posted2017/05/16 12:10
U-20W杯の現在の注目度は、東京五輪と久保建英という2つのトピックがあったからこそ。ここからどんな他の選手が台頭するのだろうか。
アジアでは武器だった守備が、世界では通じない。
ひるがえって、日本の守備である。
ホンジュラスに喫した失点は、どちらも「組織を崩された」というシーンではない。ちょっとした不手際を突かれたのだが、それこそが世界基準の価値観である。アジア相手では表面化しない小さなミスが、致命傷に至ってしまうのだ。
ウルグアイやイタリアは、ホンジュラスなど足元にも及ばないぐらいにしたたかである。狡猾さを特徴としない南アフリカにしても、持ち前のパワーとスピードで相手のスキを突いてくる。
U-20W杯のアジア予選を無失点で乗り切ったときも、内山篤監督率いるチームはディフェンス力を評価されてきた。中山雄太(柏レイソル)と冨安健洋(アビスパ福岡)の両センターバックを軸とした守備は、世界でもチームの強みになると見なされてきた。
だが、中山は危機感を強めている。
「アジア相手の戦いでも、やられてもおかしくない場面はありました。そういうところを、いまは失点に結びつけられている。やられてなかったところでやられている。今日の試合が本大会でなくて良かったですが、2失点を見つめ直さないといけないです」
一番冷静だったのは、15歳の久保建英?
攻守ともに課題を残した一戦だったが、それだけに意味があったと言うことはできる。大会直前にシビアな現実に触れるのは、決して悪くないものだ。
「2失点は世界へ行ったらそういうところでやられる、というもの。すべての選手がいい経験をした」と内山監督も話している。
注目の久保建英はどうだろう。
ホンジュラス戦に出場したフィールドプレーヤーのなかで、もっとも冷静だったのはチーム最年少の15歳だったかもしれない。例によって判断のミスがなく、それゆえにボールの流れを停滞させない。自ら仕掛けていくべき場面と、周りの選手を使う場面をきっちりと見極めることができている。攻撃をノッキングさせることがないのだ。