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ピッチに響く久保建英の甲高い声。
U-20でも発揮し始めた中心感。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byAFLO
posted2017/05/16 12:10
U-20W杯の現在の注目度は、東京五輪と久保建英という2つのトピックがあったからこそ。ここからどんな他の選手が台頭するのだろうか。
「選択肢があるぶん、ボールが出てこないことも」
3月上旬のトレーニングキャンプに比べると、周囲への遠慮も消えている。2カ月前はパスを呼び込むことに控え目だったが、この日は甲高い声を何度も響かせた。「非常にいい連係が築けています」と久保自身も手ごたえを口にするが、「選択肢がたくさんあるぶん、自分にボールが出てこないところもありました」と付け加えた。
いずれにせよ、久保がチームに溶け込んでいるのは間違いない。前線で軸となる小川は、「コンビネーションは試合ごとに良くなっている、というのはありますね。ホントに楽しみです」と声を弾ませる。ダブルボランチの一角で途中出場した市丸瑞希(ガンバ大阪)も、「フリーになる動きがうまい。バイタルエリアでフリーになっているので、ボールをつけやすい」と話す。
フル代表のW杯に比べると、U-20W杯は試合間隔が短い。それだけでなく、登録メンバーがW杯より少ない。総力戦で挑まなければ、上位進出など望めないのだ。
'14年のブラジルW杯を制したドイツでは、マリオ・ゲッツェやアンドレ・シュールレがジョーカーとなっていた。スタメンに見劣りしない実力を持った交代選手こそが、短期決戦ではチームの命運を左右することがあるのだ。
大会が準々決勝を迎える来月4日に、久保は16歳の誕生日を迎える。他でもない自らの決定的な働きによって、彼がその日を韓国で迎えても不思議ではない。