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FIFAランク112位でベスト8へ下克上!
アイスランド代表・グンナルソンの伝説。
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![フィリップ・オクレール](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/6/3/-/img_63c0172edf1a3eec5d5017836b5eb9301895.jpg)
フィリップ・オクレールPhilippe Auclair
photograph byPIERRE LAHALLE
posted2017/01/17 11:00
![FIFAランク112位でベスト8へ下克上!アイスランド代表・グンナルソンの伝説。<Number Web> photograph by PIERRE LAHALLE](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/f/b/700/img_fb27b87c2bf274d7825f114fa9d91430182589.jpg)
アイスランドのチームを象徴するような闘志みなぎるプレーで、キャプテンとしてチームを力強く牽引したグンナルソン(左)。
他のチームがバイキング・クラップを真似すること。
「僕らはフランスまで行って国のために戦った。それだけでも凄いことだ。僕のこれまでのキャリアの中で匹敵するものは何もないし、これ以上に気持ちの高ぶりも感じたことはない。僕らはすべてを捧げ、捧げた以上のものを受け取った。それが信じられない。
それから機上で見た丘に着いた。少し前には誰もいなかったのに、そこは人で埋め尽くされていた。自分の目が信じられなかったし言葉もなかった。キャプテンとして僕はスピーチを求められたけど、頭が真っ白になり用意していた言葉をすべて忘れてしまった。『大会中のサポートに心から感謝します。ありがとう』としか言えなかった。凄く後悔しているよ。もっといろいろ言いたかったのに……」
――ファンは分かってくれたのでは?
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「その通りで、最後のバイキング・クラップを一緒にやった。これまでのどれよりも印象深く鳥肌が立った」
――他のチームが今、バイキング・クラップを真似ていることについてはどうですか?
「あれは僕らが発明したわけじゃない。すでにあるものをやっただけだ。だから誰かが自分たちに合った別のバージョンを考えついたならば、別にいいと思うよ。
でも僕自身は、誰彼かまわず一緒にはできない。僕やチームメイト、サポーターにとってそれはありえない。だからこそオーストリアに勝ってグループリーグを突破したとき、僕らもクラップに加わった。
サポーターは5~6年前からクラップを始めていたけど、僕らが一緒にやることは1度としてなかった。でもあのときはこう思ったんだ。『彼らと気持ちがひとつであることを示すために、僕らも何かやらなければいけない』と。
さっきも言ったけど、スタンドを見ると幼馴染が太鼓を叩いている。彼の方に向かいながら自然とクラップを始めていた。周囲の誰もがそれに加わった」
「でも何があろうと、人々は2016年を忘れない」
――大会の後はどのぐらいアイスランドに滞在しましたか?
「48時間で、それ以上ではなかった。家族と(2歳の)息子に会った後、すぐに友人たちとアメリカに5日間のバカンスに出かけた。ゴルフ三昧の日々の後、レイキャビクに戻って1週間を過ごし、カーディフで練習を再開した」
――帰国の後は、人々のあなたを見る目が変わりましたか?
「少し変わった。髭もあまり顔を隠す役には立たないよ(爆笑)。新たな敬意のようなものを感じる。このEUROのことは、これから長く語られるだろう……。ロシアワールドカップ予選がどうなるかはわからない。でも何があろうと、人々は2016年を忘れない。
僕らのような国でも、大きな大会に出場してそこで何かを成し遂げられると証明した。僕はサッカー選手を目指すすべての人々にこう言いたい。『決して弱すぎることはない』と。自分にできることをおこない、戦術もしっかりしていればチャンスは必ずやって来る」