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FIFAランク112位でベスト8へ下克上!
アイスランド代表・グンナルソンの伝説。
 

text by

フィリップ・オクレール

フィリップ・オクレールPhilippe Auclair

PROFILE

photograph byPIERRE LAHALLE

posted2017/01/17 11:00

FIFAランク112位でベスト8へ下克上!アイスランド代表・グンナルソンの伝説。<Number Web> photograph by PIERRE LAHALLE

アイスランドのチームを象徴するような闘志みなぎるプレーで、キャプテンとしてチームを力強く牽引したグンナルソン(左)。

決勝ゴールを決めて、スタンドに走っていくと……。

――チームと観衆がこれほどまでの一体感を体現した例はほとんどありません。それはアイスランドが小さな国で、お互いが顔見知りであるからですか?

「あなた方には信じられないだろう。オーストリア戦でロスタイム(94分)に決勝ゴールを決めたとき、僕はスタンドにいた家族や友人たちのもとへ迷うことなく走っていった。そこでは僕の幼馴染が太鼓を叩いていた。彼が見に来ているなんて全然知らなかった。

 国は今、希望を求めている。銀行の破たんや政治の問題、大統領はパナマ文書のスキャンダルの渦中にあり辞任した……。僕らは国民に、決して忘れることのない何かを提供することができた」

――観光産業にもいい影響をもたらしました。EUROの後は訪れる観光客の数が大きく増えました。

「その通りで、EUROを誰もが見ていた。アメリカ人ですらそうで、大会後にチームの友人たちと何日かをフロリダで過ごしたけど、信じられなかったよ。僕らのことを知っていて、レストランで写真を求められた。

 大会前には考えられないことで、それだけ僕らが紡ぎ出した物語が印象深かったということさ。レスター・シティとちょっと似ているけど、何も持たないものたちが、最後に勝利を得る。またそれに近いことをする。僕らがまさにそうだった」

着陸する前に、車の長い列が飛行機から見えた。

――レイキャビクでの歓待ぶりを見ると、もっと勝っていたらどうなっていたか……。

「たとえ勝ったとしても、あの日、国民たちと分かち合った喜びを越えることはなかっただろう。彼らが僕らとともにあることはわかっていた。スタジアムでそうだったから。でもどれだけの人々が母国で迎えてくれるかは予想できなかった。レイキャビクに近づき飛行機が高度を下げたとき、人々が集まるだろうと言われていた丘にはひとっこ1人いなかった。『ちょっと寂しいなあ……』とチームメイトたちと話し合っていたんだ。

 ところがケプラビーク空港に着陸する段になると、車の長い列がレイキャビクから空港に続いているのが見える。もの凄い渋滞になっていた。大きな事故でもあったのかと話していたらそうじゃなくて、皆言葉を失って……。あの瞬間を(言葉に詰まる)……。あの瞬間を僕らの誰もが絶対に忘れない(目を潤ませて)」

【次ページ】 他のチームがバイキング・クラップを真似すること。

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