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「今一番欲しいのは代表のスタメン」
南野拓実は何に悩み、何を目指すか。
posted2017/01/14 11:30
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph by
Kiichi Matsumoto
昨年末。ありきたりで、使い古された質問であることは承知の上で、まず訊いてみた。
南野選手にとっての2016年を、漢字一文字で表すと?
メダル獲得が期待されたリオ五輪では、グループリーグ敗退。ザルツブルクではレギュラーの座を失った。だから、「悔」や「不」のような、ネガティブな意味を含んだ文字が返ってくると予想していた。
ところが、目の前に座る南野拓実の表情は、意外なほど明るかった。数秒考えた後、一文字が決まった。
「変化の『変』、ですね。五輪で負けて、クラブでは試合に出られない時期が続いて、そのときに何をするべきかってことを自分なりに考えてきました。まだ変化している途中なんですけど、そのための一歩を踏み出したのが、2016年だと思います」
クールな見た目とは裏腹に、負けず嫌いの塊のような男である。2016年の経験が、悔しくなかったはずはない。
サッカーで負けた分は、サッカーでしか取り返せない。
「練習がしたいです。休みはいらない。チームに帰って、バリバリやりたいです」
これはグループリーグ敗退に終わったリオ五輪直後、報道陣から「今、一番したいことは?」と問われた際の言葉である。
「僕は性格的に、サッカーで負けた分は、サッカーでしか取り返せないと考えるんです。サッカーに関して不安があるとしたら、サッカーでしかその不安は取り除けない。子供の頃から、負けたらすぐに練習していた。プロになってからは、うまく自分の感情をコントロールできるようになったし、『1日練習しただけで、急に上手くなったり、下手くそになるわけではない』と考えられるようになったけど、あの五輪の場合は……。グループリーグを突破できなかったことが本当に悔しかったし、それは僕の力不足でしかない。あの悔しさを拭い去るには、個のレベルアップしかないと思ったので」