錦織圭、頂への挑戦BACK NUMBER

同世代ラオニッチ、チリッチが躍進。
“安定した錦織”から脱皮すべき時。
 

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山口奈緒美

山口奈緒美Naomi Yamaguchi

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photograph byHiromasa Mano

posted2016/11/24 11:45

同世代ラオニッチ、チリッチが躍進。“安定した錦織”から脱皮すべき時。<Number Web> photograph by Hiromasa Mano

世界ベスト8だけが出場できるファイナルズに3年連続で出場した錦織。これ以上の活躍は世界王者レベルということになるが……。

『#NextGen』という次世代選手のキャンペーンも。

 今年の後半ツアーを離脱したロジャー・フェデラーと、やはり終盤を捨てたラファエル・ナダル……絶大な人気と存在感を誇るかつての2強がいなくなったテニス界は、たとえ来年彼らが戻って来たとしてもかつてのような無敵を誇った〈ビッグ4〉にはなりえない。

 ならば、新しい主役の誕生やライバルストーリーが、テニスの人気維持のためにも必要だ。

 ATPツアーは世代交代の柱として『#NextGen』というキャンペーンを打ち立て、ネクスト・ジェネレーション――つまりU21の若い世代を育てようとさまざまなプロモーションを実行している。

 かつてツアーは同様に『New Balls Please』というキャンペーンでフェデラーを含めた当時の新世代をプロデュースし、実際にそこから数々のグランドスラム王者、スター選手が誕生した。当時もやはり、時代の変わり目だったのである。

 錦織たちは自身の若い年代を〈ビッグ4〉という圧倒的な力を持つトップグループの下で過ごした。そしてこうして今、旧〈新世代〉と現〈新世代〉の狭間で戦っている。

 しかしタフな時代に生きてきた彼らに今、このまま下の世代にバトンタッチはできないという気迫のようなものを感じる。

 今年は錦織の1つ年上であるファンマルティン・デルポトロの復活もあった。ケガの再発さえなければ来年は確実にトップ10に戻って来るに違いない。ビッグ4のポスト世代と呼ばれた彼らが、刺激し合う関係はさらに活性化されるのではないだろうか。注目度も高まる。

 そこから誰か抜け出せるのか、それが誰なのか――。

 もちろん、錦織であることを願っている。

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