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史上初2年連続トリプルスリーに光を。
山田哲人、成功率9割超の積極盗塁。
text by
日比野恭三Kyozo Hibino
photograph byNanae Suzuki
posted2016/11/02 11:30
バッターボックスに入れば強打、塁に出れば一球の隙をも見逃さず次の塁を狙う。山田の存在は相手投手にとって脅威以外の何物でもない。
初球から走っていくスタイルを鈴木尚広氏も称賛。
スタジオにゲストで呼ばれていた“走塁のスペシャリスト”鈴木尚広氏も、山田の走塁技術を絶賛していたのも面白い。
「初球から積極的に走っていくし、かなりの確率で成功している。自分主導の盗塁で、受け身になっていないことが彼の素晴らしいところ。初球で走るのは僕でも難しいくらいですから。いかにピッチャーに間合いを合わせないで自分が準備ができているかということになる。もう、すごいの一言しかないですね」
鈴木氏が触れたとおり、山田の盗塁は初球から走っていくのが特徴だ。
2014年、山田は15盗塁を記録したが、そのうち初球に走って成功させたのはわずか2個だけだった。そして2015年、その数は34盗塁のうち16個と、仕掛ける数も成功率も飛躍的に増えた。2016年もトリプルスリーを確定させる直前で、その積極性は発揮された。8月26日の阪神戦でマークした29個目、9月6日のDeNA戦でマークした30個目の盗塁はいずれも初球に走っているのだ。
「もともと足にはいちばん自信がありました」
思い出すのは以前、インタビューした時のことである。山田は盗塁についてこう語っていた。
「もともと足にはいちばん自信がありました。守ることよりも、ホームランを打つことよりも。だから、コツさえつかめれば絶対いけると思っていた」
天性の足の速さに技術が加わったのは昨季のことだ。三木肇、福地寿樹の両走塁コーチの徹底指導のもと、スタートの切り方などの練習をシーズンが始まってからも毎日のように続けた。
山田は続ける。
「前までは、しんどいな、次の塁にいけたらいいな、ぐらいの気持ちだった。でも、走塁に興味をもてるようになってきたんです。走ることでいっぱいプラスがある。その走塁で試合に勝つこともあるんだってわかってから勉強しましたね」