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史上初2年連続トリプルスリーに光を。
山田哲人、成功率9割超の積極盗塁。
text by
日比野恭三Kyozo Hibino
photograph byNanae Suzuki
posted2016/11/02 11:30
バッターボックスに入れば強打、塁に出れば一球の隙をも見逃さず次の塁を狙う。山田の存在は相手投手にとって脅威以外の何物でもない。
今季の盗塁失敗は2度だけ、成功率は驚異の.938。
体重は前がかり、初球からガンガン走る積極性を持ちながら、ほとんど失敗しないのが山田の盗塁の卓越した点だ。今季の盗塁死はわずかに2度。32回の企図で30回成功させ、成功率は.938という驚異的な高さを誇る。ちなみに今季はパ・リーグで糸井嘉男と金子侑司の2人がハイレベルな盗塁王争いを繰り広げたが、53盗塁でタイトルを分け合った2人はともに70回の企図があり、成功率は.757だった。
山田が牽制で刺されたのも9月4日の広島戦、ヘーゲンスに虚を突かれたのが今季初。「逆を突かれたかもしれないが、それでも戻るという練習通りのことはできたと思う。(攻めの)意識は変えないようにしたい」と山田は振り返ったという。
「全体的な雰囲気を見ながら、盗塁にいく」
塁上の山田は、投手のどこを見ているのか。そう尋ねた時の答えは、意外というべきか、山田らしいというべきか、ふわっとしたものだった。
「全体を見ますね。全体的な雰囲気を見ながらいく。クセがあるピッチャーとかやったら見ますけど、今の時代、あんまりクセのある人もなかなかいませんから」
'14年にブレイクしてから、山田は常にトリプルスリーという言葉とともに語られるようになった。
15盗塁を記録した'14年のシーズン終盤に聞いた時は「30盗塁なんて無理」と言いながら翌年、トリプルスリーを達成した。
38本塁打を記録した'15年のシーズンが終わってから聞いた時は、「ホームランが無理。38本は異常過ぎた」と言いながら今季も同じ数だけスタンドに放り込み、2年連続、NPB史上初となるトリプルスリーを達成してしまった。