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ついにMotoGP開幕&見どころ紹介。
ホンダ・ヤマハ以外の躍進で大混戦!?
posted2016/03/19 10:40
text by
遠藤智Satoshi Endo
photograph by
Satoshi Endo
2016年ロードレース世界選手権(WGP)が、カタールのロサイル・インターナショナル・サーキットで開幕した(グランプリウイークは17日からスタート!)。そこで今回は、シーズン予想をしてみようと思うのだが、今年のMotoGPは、各カテゴリーの中でもっとも予想困難なクラスとなった。
その理由は、電子制御をコントロールするソフトウエアが各チーム共通になったこと。
この外からは見え難い変化が、予想以上の混戦を生むことになったからだ。
ここ数年、開幕前のウインターテストでは、ホンダとヤマハの2ワークスが上位を独占していた。それはシーズンのリザルトにも如実に反映し2011年以降、ホンダとヤマハの2ワークスが優勝を独占してきた。
過去5年間のレースで優勝できたライダーは、ホンダはケーシー・ストーナー(引退、現ドゥカティのテストライダー)、ダニ・ペドロサ、マルク・マルケスの3人。ヤマハはホルヘ・ロレンソ、ベン・スピース(引退)、バレンティーノ・ロッシの3人で、ストーナー('11年)、ロレンソ('12年、'15年)、マルケス('13年、'14年)が年間タイトルを獲得している。
勿論、ここに名前を挙げた選手たちのライダースキルの高さは疑いのないものだ。しかし、そのライダースキルの高さを一段と高めることになっていた理由のひとつが、“電子制御”と呼ばれる部分を担当するソフトウエアの優秀性だったことを、今年の混戦は照明することになってしまった。
これまで以上にライダーの能力が問われるシーズンに。
中でも特に優れていたのは、ライディングにもっとも影響するエンジンブレーキの電子制御と、加速時のトラクションコントロールだったようだ。
共通ソフトウエアは、そういった部分の緻密な設定の作り込みが、これまでのワークス独自のソフトウエアとは相当異なるようなのだ。
2ストロークエンジンの500cc時代は、ジャジャ馬のようなエンジンを御するライダーのアクセルコントロール・センスが問われた。それが挙動が大人しい4ストロークエンジンの1000ccに変わって電子制御が重要な時代を迎えると、アクセルコントロールのシビアさがなくなり、ライダーはライディングに集中するだけで速く走れるようになった。それが今季は、2ストローク500cc時代ほどではないが、アクセルコントロールがこれまでよりシビアになり、速く走るための重要な要素になってきたように見える。