岩渕健輔、ラグビーW杯と東京五輪のためにBACK NUMBER
今回、W杯後も日本は弱くならない!
サンウルブズが埋めたラグビーの空白。
text by
岩渕健輔Kensuke Iwabuchi
photograph byAFLO
posted2016/03/18 10:30
山田のトライなどで、チーターズ戦は1点差の大接戦。世界は、手が届かない距離にあるわけではないのだ。
公式戦で強豪国と試合ができるメリットは計り知れない。
スーパーラグビーは代表チームではなく、特別に編成されたクラブチームが参戦する大会ですが、これらの国々が送り出してくるチームと年間15試合を戦うことができます。しかも単なる親善試合ではなく、公式戦という真剣勝負の舞台で彼らのプレーを肌で感じられるメリットは計り知れないものがあります。
ラグビー界ではテストマッチが行なえる期間は、年間で6週間、春と秋にそれぞれ3週間に限られていました。しかも「ティア1」と呼ばれる世界の強豪国と試合ができる機会となると、ハードルはさらに高くなります。スーパーラグビーへの参戦は、試合の回数においても対戦相手のレベルにおいても、従来の制約を突破する足がかりとなるのです。
またスーパーラグビーは、選手の強化とは違った意味でも、様々なメリットをもたらします。
昨年まで、今の時期にラグビーのニュースはなかった!
もちろん、私たちの当面の目標が2019年と2020年であることは間違いありません。日本で行なわれるW杯と五輪で結果を残せるかによって、2021年以降の日本ラグビーの未来が決まるのですから、ここは譲れません。
ただし同時に、2021年以降のための基盤を代表とは異なる形で作っていく必要もあります。その点でスーパーラグビーは、ファンの皆さんの関心を維持しつつ、トップリーグのレベルアップを図っていく効果ももたらします。
その効果の大きさは、現在の状況を想起していただくのがわかりやすいかもしれません。
日本のメディアでは、サンウルブズの試合や海外の動向などが連日のように報道されています。しかし昨年までは、日本選手権が終われば、ラグビー界は6月のテストマッチまでほぼ無風に近い状態に置かれていたのです。
現在ラグビーがこれだけ注目を集めているのは、サンウルブズがスーパーラグビーに参戦し、空白の期間を埋めたからに他なりません。サンウルブズは、代表チームやトップリーグとともに、2021年以降も日本ラグビー界の一部になっていく必要があるのです。
同時にスーパーラグビーは、ラグビーという競技自体の可能性を引き出す意味でも、未来への基盤作りに貢献します。