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畠山健介語る英国ラグビーデビュー。
娘の手紙と、スパイク一杯のビール。

posted2016/03/19 10:30

 
畠山健介語る英国ラグビーデビュー。娘の手紙と、スパイク一杯のビール。<Number Web> photograph by Kensuke Hatakeyama

ファルコンズの頼れるキャプテン、ウィルとニューカッスル市内のカフェで。ラガーマンに国境はない。

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畠山健介

畠山健介Kensuke Hatakeyama

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Kensuke Hatakeyama

 1月下旬、極寒の成田空港。わざわざ来てくれたメディアの方々のインタビューに応えた後、妻と娘、エージェント、サントリーの広報担当・田原(耕太郎)さんでコーヒーを飲み、しばし談笑。あっという間に出発時刻。

 出発直前、妻と娘から手紙をもらう。3歳の娘が書いた「おとうさん れんしゅう がんばってね」という文字に涙がこぼれる。久しぶりにもらった妻からの手紙からは、背中を押されるような心強さをもらう。インターネットやSNSなどを日常で当たり前のように使用しているぶん、「手書き」の温かみを改めて感じることが出来る。

 見知らぬ土地に行く不安があったせいか、プレミアシップというプレッシャーがあったせいか、「久しぶりに」という時間的な問題か。少なからず不安がある中で、手書きという救いは本当に有難かった。手紙で不安が和らいだおかげで、成田空港から乗り継ぎ先のドバイまでの約12時間、機内で深い眠りにつけた。ニューカッスルでもこれぐらい深い眠りにつけるのか……ドバイでまた少し不安にかられた。

初めてのゲームメンバー、そして初めてのグラウンド。

 現地時間で、2016年2月12日金曜日。ファルコンズはホームのキングストン・パークで強豪レスター・タイガースとの試合。キックオフは19:45のナイトゲーム。この試合で僕は初めてゲームメンバー(リザーブ、18番)となり、仲間の戦いをベンチから見守った。

 イングランド、プレミアシップで最多リーグ優勝回数を誇る名門レスター。しかし今シーズンも好調なレスターに対し、序盤からファルコンズのメンバーは素晴らしいパフォーマンスを発揮した。ホームということもあり、雰囲気もゲーム展開も終始ファルコンズペース。20-9で前半を終え、後半へ。

 後半に入ってもファルコンズはレスターの猛攻を耐え続け、得点チャンスでしっかりスコアし、23-9。それでもレスターの猛攻は続き、64分にトライされてしまう。キックは外れて23-14。

 トライ後に「ハタケー!!!」と観客席にあるリザーブ選手が座る席にいる僕の名前が呼ばれた。僕の他にフッカーのジョージ(・マグウィガン)、スタンドオフのクレイグ(・ウィリス)も呼ばれ、3人が交代する。

【次ページ】 歳を重ねたからこそのポジティブな思考。

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