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金沢がJ2で3位の理由を徹底解説。
無名と侮るなかれ、これは本物だ!
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細江克弥Katsuya Hosoe
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2015/05/21 10:30
![金沢がJ2で3位の理由を徹底解説。無名と侮るなかれ、これは本物だ!<Number Web> photograph by J.LEAGUE PHOTOS](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/7/c/700/img_7c4da46cb6e8ab5e7cbb2204e4d93db8136639.jpg)
清原翔平(中央)は2012、2013年のJFLベストイレブンにも選出されたチームのエース。憧れの選手はサビオラという165cmの小兵が、金沢を牽引している。
セットプレーやPKを取る過程に、質がある。
もちろん、昨季J3の33試合で20失点しか喫していない守備陣の安定感も強みだ。相手をリスペクトし、自分たちの力を過大評価しない“戦術”が機能しているからこそ、8人のブロックがそう簡単に崩れることはない。
第14節終了時点で、奪った20得点のうちセットプレーの流れから生まれたゴールは実に「8」。さらに、PKは「5」を数えている。その情報だけを知れば、我慢に我慢を重ねて、セットプレーから何とかゴールを奪うチームと勘違いされてしまうだろう。しかし、これも指揮官の言うとおり、1試合見ればその解釈が大きな誤解であることがよく分かる。
セットプレーから生まれたゴールが多いということは、優れたキッカーがいるということに他ならない。PKによるゴールが多いということは、それだけペナルティーエリア内で決定的なシーンを作っているということなのだ。
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FKはメインキッカーである辻尾真二を筆頭に、山藤の左足と佐藤の右足もハイレベル。最前線のターゲットマンとして体を張る水永翔馬の泥臭いプレーも、その周辺をグルグルと動き回る金子昌広のプレースタイルも、田中パウロ淳一のキレキレのドリブルも、ペナルティーエリア内でその効果を発揮すればPKを招きやすい。しかも、レフティーの清原が蹴るPKは、独特のテンポで予測しにくい。
つまり、1/3を消化したJ2における金沢の快進撃は、必然の結果なのである。
千葉・関塚隆監督も金沢の力を警戒していた。
「あそこまでやると思っていました?」
そう聞かれた千葉の指揮官・関塚隆は、「はい」と即答した。金沢の本当の力は、そろそろ各チームに知れ渡り、緻密な分析をもって対応される段階にある。つまり当事者を除いて誰にとっても「まさか」の快進撃は、ここからが正念場だ。
ただし、そのことは指揮官もよく知っている。だから森下は、「上に」と言いかけて「残留に」と言い直し、大きく声を張って「そうじゃないよ」と言わないのである。
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