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金沢がJ2で3位の理由を徹底解説。
無名と侮るなかれ、これは本物だ!
posted2015/05/21 10:30
text by
細江克弥Katsuya Hosoe
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
5月17日に行なわれたJ2リーグ第14節、同勝点で2位と3位につけるジェフユナイテッド千葉vs.ツエーゲン金沢の一戦は、1-1でドロー決着。91分までリードしていた千葉にとってはもちろん手痛く、敗戦目前だった金沢にとっては値千金の「勝点1」となった。
もう一つの上位対決となったジュビロ磐田vs.大宮アルディージャも1-1のドローとなり、J2の上位争いは相変わらずの混戦模様が続いている。首位の磐田からJ1昇格プレーオフ圏内の6位V・ファーレン長崎まで、勝点差「4」にひしめくデッドヒート。上位対決に臨んだ4チームの後にはアビスパ福岡と長崎が続き、コンサドーレ札幌とセレッソ大阪がその後を追う。
それにしても、顔ぶれを眺めて首を傾げたくなるのは、やはり金沢である。
昨季までJ3を戦っていた昇格1年目のチームに、誰もが知っている有名選手はいない。優先的に使える天然芝のグラウンドも、もちろんクラブハウスもない。アウェイの遠征は基本的にはバス移動で、さらにはJ1昇格に必要な「クラブライセンス」もない。だから、仮にJ2を制してもJ1に昇格することさえできない。どこからどう見ても、開幕前なら「降格候補」と予想したくなる零細クラブであり、J1昇格に向けて動き出したばかりの発展途上クラブなのである。
「この勢いはいつか終わる」と思っていたが……。
ところが、今や「金沢」はJ2におけるメイン・トピックの1つとなった。
5月4日の第11節終了時点で昇格チームとしては史上初の単独首位に立ったどころか、第4節のFC岐阜戦から続く無敗記録は「11」にまで伸びた。失点「8」は、「今季は(例年と違って)守備が堅い」と評される千葉を差し置いてリーグ最少である。
「いつか終わるだろうけどね」というシメに落ち着くとはいえ、J2のどの会場に行っても「金沢は?」「また勝ったの?」というやり取りが聞こえてくる。自分自身、今思えばふざけた態度で、何度も「終わるだろうけどね」とニヤついたことを思い出す。それでいて、ブームは一向に終息の気配を見せないから、こちらの表情も引きつるばかりだ。