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今なぜ柴崎岳が鹿島のキャプテンに?
指揮官が与える英才教育の最終試験。
posted2015/04/14 10:50
text by
田中滋Shigeru Tanaka
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
3月14日、明治安田J1リーグ第2節鹿島対湘南がキックオフを迎える前、トニーニョ・セレーゾ監督は柴崎岳に「お前が付けるんだ」とキャプテンマークを手渡した。
3月8日の第1節の清水エスパルス戦も柴崎はキャプテンとしてピッチに立っていたが、それは3月4日に行なわれたFCソウルとのアウェイゲームでの疲労を考慮して小笠原満男が欠場していたからだと思われていた。しかし小笠原が復帰したこの試合でも、セレーゾ監督は“キャプテン柴崎”を継続。それ以来、鹿島のキャプテンマークは柴崎の左腕に巻かれている。それは、現在負傷離脱中の小笠原が本格復帰してきても変わることはないだろう。
なぜ、トニーニョ・セレーゾ監督は、今季から柴崎にキャプテンマークを託したのだろう。柴崎にとって鹿島で3人目となる指揮官は、当初から柴崎の意識の高さを高く評価してきた。
「僕の評価のなかではプロ意識の非常に高い選手ですし、クラブハウスに一番最初に来るメンバーの一人でもあります。どんな練習でも嫌な顔をせず、与えた練習や要求に対してつねに向上心を持って取り組みますし、自分がレベルアップするための努力を惜しみません。
また、技術レベル、サッカーセンスにおいてもいまでは日本を代表する選手になりつつあります。みなさんは年齢で若い(22歳)と言いますが、それはあくまでも数字であって、選手としての成熟により年齢という数字は関係なくなります」
監督の指摘通り、キャプテンマークを付けるのに相応しいかどうかは年齢ではなく、その選手が示すプレーや態度が大きく関わる。その点で言えば、柴崎は文句のつけようのない模範的な選手だ。
今までは自分のために、これからはチームのために。
しかし逆に言えば、キャプテンマークを与えずとも、彼は十分に自らを律してプレーしてきたともいえる。もともと柴崎の意識は高く、チームメイトの範となってきたからだ。それでもこのタイミングで彼にキャプテンを任せた意味を、セレーゾ監督は次のように語る。
「いままでは自分がどこかにたどり着くための自覚を持って努力していたと思いますが、キャプテンになれば今度はチームのために、という意識に変わります。組織全体を見渡して発言をしたり姿勢を示したりしていかないといけないし、違う意味で彼の成長を促すことになる。彼はそれができる選手だと思っています」