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ACLで軒並み敗戦が続くJリーグ勢。
水原vs.浦和で見えた南アW杯後遺症。
text by
吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki
photograph byAFLO
posted2015/02/26 12:15
先制しながらも逆転負けを喫した浦和。ペトロヴィッチ監督も「後半に水原が攻撃的な姿勢を見せ、不運な失点をしてしまった」とコメントしている。
パワー戦略で、Jリーグのチームはすべて制圧できる!?
一方、チームの「顔」であり、2010年南アフリカワールドカップにも出場したアタッカー、ヨム・ギフンはこんな話も。
「試合前にかなり浦和の試合映像を研究しました。日本のチームらしく、パスワークがいいという印象で。守備ラインからしっかり繋いでくる。実際に戦ってもその印象が強かった。Kリーグにはあまりないスタイルです」
そのパスワークにどう対処するのか。秘訣をこう明らかにした。
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「前半、水原は意図的にラインを下げて守備的な戦いをした。ハーフタイムでは一転、『強いプレスをかけていこう』という話になったんです。すると相手は守備ラインからのボールを自由に供給できなくなった。そこにこちらの勝機があったと思います。今日の場合は先制されたことで特に厳しく行く必要があった。結果的にはこれがいい形で作用した」
さらに、日本のチームに対してはある程度の自信があったのだという。
「Jリーグのどのチームとやっても、そういった戦いをするでしょう。相手が攻めてきてボールを長く持たれる時間帯がある。しかし、そこを凌ぐ。そしてタイミングをはかって一気に、守備での積極的なプレスを通じて『仕掛ける』時間帯を作る。そこで勝負を決めてしまうんです」
JリーグとKリーグ双方でプレーする水原の鄭大世は試合後、「Jリーグ勢相手だと自分の体の強さで勝負できると感じた。韓国ではそれで目立つことは難しいですから」と口にしていた。
パワーと戦略でJリーグ勢のパスワークは制圧できる。韓国側にはそんな感覚がある。この日の浦和はその術中にはまってしまった。
今回の水原だけの話ではない。2014年のラウンド16でも同じくFCソウルがこの戦略で川崎フロンターレにアウェーで勝っている。「攻めさせておいて、疲れたところで逆襲」といういつものパターンだ。
始動時期の不利が大きい、この時期の日韓対戦。
もうひとつ、日韓比較という視点からこのゲームでの敗因を探ってみると、「シーズン始動時期の違い」がある。つまりは仕上がり具合の差、ということ。筆者もこの時期の日韓対決には常々引っかかるものがあった。
浦和が今季1月14日に始動したのに対し、水原は1月5日に始動した。この時点で、すでに10日ほどの差がついているのだ。
これは両チームに限ったことではない。実は韓国サッカー界の方が昔から2週間ほどシーズンの始動が早いのだ。例年、日本でキャンプを張るKリーグチームとJリーグチームの練習試合が「大荒れになった」というニュースが流れるが、これは仕上がり具合の違いという面が大いに影響している。