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中村憲剛「カンプノウみたい」。
迫力と便利が両立の新等々力競技場。

posted2015/02/27 10:30

 
中村憲剛「カンプノウみたい」。迫力と便利が両立の新等々力競技場。<Number Web> photograph by KAWASAKI FRONTALE

そもそもは1941年の内務省の等々力緑地の都市計画に基づき、整備中の等々力緑地内に1964年より陸上競技場の建設が開始され、1966年より供用を開始していた。

text by

飯尾篤史

飯尾篤史Atsushi Iio

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photograph by

KAWASAKI FRONTALE

 2月21日に行なわれた川崎フロンターレ対アルビレックス新潟の練習試合に7195人もの来場者があったのは、開幕が待ち遠しかったり、観戦料が無料だったりしたことだけがその理由ではないはずだ。

 ついにベールが剥がされる新メインスタンド――。

 2012年12月から改築工事に入っていた等々力陸上競技場の新メインスタンドを、ホーム開幕戦より一足早くこの目で確かめたいというファン、サポーターも多かったに違いない。

 この日は新メインスタンドを使用せず、ただ眺めるだけだったが、ファン、サポーターやメディアより先に新メインスタンドで観戦したのはフロンターレの選手たちである。

 1試合目はBチーム同士の対戦だったため、Aチームのメンバーは新メインスタンド5階のガラス張りになっている部屋からゲームを眺めた。

「あのメインスタンドが満員になったら、すごい迫力になる」

「部屋に入った途端に、みんな、オオッてどよめいた」

 そう言ったのは、中村憲剛だ。興奮を隠さずに続ける。

「衝撃的でしたね。傾斜の角度がすごくて、5階からピッチを眺めた景色がカンプノウみたいだった。あのメインスタンドが満員になったら、すごい迫力になるでしょうね」

 もっとも、新メインスタンドの魅力は、中村を驚かせた上段スタンドの傾斜や景色にとどまらない。どうやら他にも“仕掛け”があるようなので、全貌を探るためにクラブ事務所を訪ねると、運営グループ・副グループ長の岩永修幸氏が対応してくれた。

「僕は普段、試合の運営担当をしているので、各スタジアムの状況はかなり細かく聞いているんですけど、ここまで利用者、市民の意見を聞きながら作られたスタジアムはないでしょうね。例えば、色使いなんかも……」

 新メインスタンドの特徴のひとつは、水色と黒、フロンターレのクラブカラーが至るところに施されている点だ。普通の客席は水色、ハイグレードシートは黒で統一されていて、通路やラウンジの壁、来賓対応の部屋にもクラブカラーが使用されている。

「完全に行政の持ち物で、ここまでクラブカラーに染まっているのはないですよね。どこを見ても水色と黒がふんだんに使われているのは一体感を作り出すうえで大きいです」

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