JリーグPRESSBACK NUMBER
ACLで軒並み敗戦が続くJリーグ勢。
水原vs.浦和で見えた南アW杯後遺症。
text by
吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki
photograph byAFLO
posted2015/02/26 12:15
先制しながらも逆転負けを喫した浦和。ペトロヴィッチ監督も「後半に水原が攻撃的な姿勢を見せ、不運な失点をしてしまった」とコメントしている。
Kリーグに勝つためのヒントは、柏にアリ!
そんなKリーグチームとの戦いで、大きなヒントを与えてくれるチームがある。
柏レイソルだ。
浦和レッズが敗れた前日、24日アウェーで全北現代(昨季Kリーグチャンピオン)に0-0で引き分けた。
「ホームでの0-0の引き分けは負けに等しい」
敵将のチェ・ガンヒ監督をして、こう言わしめている。
また、試合翌日の現地メディア「ジョイニュース」は「柏さえも守備サッカーを展開」という記事を掲載した。記事の主旨は、それほどまで全北の強烈な攻撃陣は警戒されていた、というもの。記事のなかで紹介されているチェ監督の言葉が興味深かった。
「柏が守備的に出てくるだろうという予想はしていたが、3バックを使い、守備ラインを下げてまで試合に臨んでくるとは思わなかった。むしろ柏のもともとのスタイル(攻撃も仕掛けてくるスタイル)のほうがやりやすかった」
ネルシーニョの、極めて現実主義的な戦術。
柏は2012年にも全北とグループリーグで居合わせホームで5-1の大勝、アウェーでも2-0と勝利を手にしている。翌2013年にはアウェーで水原に6-2と大勝しているのだ。とにかくKリーグ勢との対戦結果が良い。これは、すべて前任のネルシーニョ監督時代の話だ。
いったいどんな戦略があったのか――19日、Jリーグ・キックオフカンファレンスで柏のMF茨田陽生に話を聞いた。
「監督の特別な指示はなかったんですよ。自分たちで考えて判断した。Kリーグのチームがフィジカルが強く激しく当たってくるのは、誰が見ても明らかなことです。前に出てくるということは、つまり裏が取りやすいということ。そこを狙っていったんです」
柏レイソルの「対Kリーグ」の戦い方は、何を示唆しているのか。
それは、“ダブルスタンダード”とでも言うべきものなのかもしれない。
攻撃的にやるときはやる。守備的になるべき時は躊躇なくそれをやりきる――。ふたつのスタンダードを、相手によって明確に切り替える、そのメリハリのことだ。